2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧
29日に6年ぶり3度目の甲子園出場を決めた聖望学園は30日、上田清司知事を表敬訪問した。上田知事は、「昨春の選抜大会決勝に応援に行ったときの思いが残っている。決勝のスケジュールは空けておく」と激励した。 聖望学園は関純彦校長、表隆則部長、岡…
聖望学園が6年ぶり3度目の夏の甲子園キップを手にして、29日に閉幕した第91回全国高校野球選手権埼玉大会。スター選手は少なかったが、高校生らしい「全員野球」の好チームが目立った。 4強は、聖望学園、埼玉栄、春日部東、川口青陵だった。私立と公…
先頭の城戸愉快が四球で出ると、西村凌は右前打で続き、無死一、三塁。一塁上の西村は、前夜にビデオで見た埼玉栄の右腕・島野隼輔のスキを思い出していた。「けん制はしてこない」。すかさず盗塁を決めた。 無死二、三塁で6番小島尚幸は、しきりにバントの…
飯沼の投ゴロを聖望学園・佐藤がキャッチすると、夏11年ぶりの甲子園が消えた。接戦を勝ち抜いた埼玉栄だが、決勝は1点差で涙。「甲子園は遠くて近く、近くて遠い。信じられない点の取られ方だった」。細淵監督は力なく話した。 島野が先発し、芹沢がつな…
勝利が決まると次から次へと選手は佐藤に抱き付いた。まるで今季を象徴するかのようなシーン。1本の柱を何本もの柱で支える「全員野球」。選抜大会準優勝の称号を持ちながら、2年連続初戦敗退した昨夏。ついに、聖望学園復活の夏を迎えた。 持っているすべ…
第91回全国高校野球選手権埼玉大会は29日、県営大宮球場に1万8000人を集めて決勝が行われ、聖望学園が埼玉栄を3―2で破り、6年ぶり3度目の優勝を飾った。昨年、選抜大会で準優勝しながら、夏は初戦敗退した悔しさを晴らした。埼玉栄は11年ぶり…
主将とエース。幼なじみの2人が、互いのチームを率いてぶつかり合った。 1回表1死。川口青陵の田中優主将(3年)が打席に入ると、浦和実の植木龍之介投手(同)が外野に向かって両手を挙げ、前進守備を指示した。「絶対に出塁する」。田中選手はセーフテ…
2年連続の4強入りを目指した浦和実は川口青陵の前に、なすすべなく敗れた。右肩を痛めていたエース植木が五回で降板。大黒柱の不調はチームに波及し、最後まで歯車はかみ合わなかった。「無念です」。辻川監督はその言葉を何度も繰り返した。 4回戦から右…
試合後のダッグアウト裏。汗が玉粒のように次々と額に浮かんだ。「次もあるので、飛ばしすぎずに7割ぐらいの力で投げた。一戦必勝で甲子園に出場して、全国制覇を狙いたい」。一言一言、言葉を選ぶようにして試合を振り返った。 心の中は燃えていても、頭は…
九回2死一、二塁、スコアは1−2。一打出れば同点の場面で、8番阿部の力ない飛球は、一塁手のミットに静かに吸い込まれた。勝利に沸く三塁側とは対照的に、うつむいて整列するナイン。大会ナンバーワン右腕の中村を擁する春日部共栄の夏が終わった。 大黒…
「打倒・共栄」「打倒・エース中村」。埼玉栄のナインは最初から闘志むき出し。「とにかく攻撃的に行った」と主将の林。中村の直球に的を絞り、打ち、しぶとく4強入りを果たした。 昨年の県大会準々決勝でも顔を合わせ、4−6で惜敗した。その後、関東ナン…
(26日・県営大宮) 第13日は、準々決勝残り2試合が行われ、4強が出そろった。昨秋の関東大会8強の川口青陵は浦和実に4−0で快勝。1998年の創部以来初のベスト4入りを果たした。埼玉栄は春日部共栄を2−1で制して4年ぶり6度目の準決勝に進ん…
第91回全国高校野球選手権埼玉大会は25日、準々決勝2試合が県営大宮球場で行われた。昨春の選抜準優勝校・聖望学園は、本庄一に競り勝った。浦和学院との5回戦に続き、昨夏の甲子園出場校に連勝し、3年ぶりの4強入り。公立校同士の熱戦は、春日部東…
聖望学園が昇り竜の勢いだ。浦和学院戦に続いて昨年覇者をなぎ倒し、優勝候補に躍り出た。昨春の選抜準優勝の意地を見せた逆転勝ちに、岡本監督は「たくましくなった」と目を細めた。 ともに細かい野球が身上の両チーム。粘りで一歩勝った。長打は1本もなし…
打席では「おまえに任せたぞ」という、仲間の声に背中を押された。1点を追う九回一死走者なし。「どんな球が来ても、必ずチャンスを作る」と、初球を振り抜いた。左越え二塁打。結局、同点のホームは踏めなかったが、会心の当たりを飛ばせた。 「最後、ナイ…
実力差は紙一重。戦力が拮抗(きっこう)する者同士の一戦は、一球が試合の流れを大きく左右する。そんなつばぜり合いを制し、最後に押し切ったのは春日部東だった。 両チームの明暗が分かれたのは四回の攻防だ。市川越は2本の長短打を足掛かりに1死満塁の…
本庄一のスタンドから、ひときわ大きな声援を送り続けた3年生がいた。1年生からレギュラーだった長谷部辰徳選手(18)だ。大会直前の練習試合で死球を受け、左ひじを骨折。最後の大会はベンチ入りさえかなわぬ失意の夏となった。それでも「これまで多く…
第91回全国高校野球埼玉大会は25日から、県営大宮球場で準々決勝が始まる。5回戦で4連覇に挑んだ浦和学院が姿を消し、優勝争いは混とんとしてきた。25日は2試合が行われ、昨夏の北埼玉大会優勝の本庄一と昨春の選抜大会準優勝の聖望学園が対戦。春…
(23日・県営大宮ほか) 第11日は2球場で5回戦の残り4試合が行われ、ベスト8が出そろった。昨秋の関東大会8強の川口青陵が、昨夏の南埼玉大会準優勝の立教新座を6−1で下して創部初の8強入りを果たした。 川口青陵は二回に、海老沢と田中の適時打…
立教新座の主将の藤卓哉(3年)は敗戦後、球場の外で、「18歳監督」の城崎智弘と握手を交わした。それまで毅然(きぜん)と撤収の指示をしていた若き指揮官の目から、どっと涙があふれた。 昨年、あと一歩で逃した甲子園出場権。二遊間を組んでいた2人は…
五回表1死。65球目だった。内野ゴロに打ち取った当たりが、一塁ベース手前で大きく弾む。右前に転がり初安打。無安打無得点が途切れた瞬間だった。 だが、ここからがエースの真骨頂だ。右腕を鞭(むち)のようにしならせると、直球がひざ元で鋭く伸びた。…
「決勝で会おう」―。兄弟で約束した夏があった。大井の遊撃手・島津拓真選手(2年)と、兄で浦和学院の主将を務めた裕真選手(3年)。兄弟そろって甲子園を目指した最初で最後の夏だった。前日に敗退した兄は大舞台での活躍を弟に託し、弟はその思いを胸に…
「ナイスバッティング」。ベンチから、ひときわ大きな声で声援を送った。右手にメガホン。左手にはギプスをはめて。 右の横手投げ。初戦2日前、打撃練習中に球が左手首付近に当たった。打撲と思い病院に行かなかった。先発予定だった3回戦。試合前のキャッ…
7回裏1死二塁。大宮東の竹沢弘通投手(3年)の顔がこわばった。決め球の変化球を、市立川越の2番吉川佳季選手(同)に三塁打にされ、1点を失った瞬間だ。この回終了後、2年生投手と交代。再びマウンドに戻ることはなかった。 今大会ここまで、延長11…
仲間を信じたから、力みも焦りもなかった。 市立川越の今村慎作投手(3年)は1回、3連打を浴びて2点を失った。2回以降も毎回のように走者を背負った。それでも、「逆転してくれると信じて投げるだけだった」と落ち着き払った。 期待通り、打線が小刻み…
指が曲がらない――。 7回表2死一、二塁。春日部東・福田雄基(3年)のバットにかすった球がミットに当たった瞬間、花咲徳栄の捕手・高橋一徹(同)に激痛が走った。前の試合で痛めていた親指だった。 マウンドには、背番号1の東谷優(同)がいた。春日部…
1点差で負けていた七回裏、登板機会がやって来た。「技術では相手にかなわない。気持ちを込めて、体全体で投げよう」。無我夢中で腕を振る。練習では全然ストライクに入らなかったというスライダーが、次々と決まった。ざわめく球場。そのたびに、1メート…
九回裏2死三塁の場面で打席に立った。失策が絡み4点を失ったが、回を追うごとに本来の攻守を取り戻し、1点ずつ着実に取り返した。あと1点。しかし、打球はセンターのグラブに吸い込まれた。 主将で4番打者。昨年甲子園に出場した経験があるのは自分一人…
第91回全国高校野球選手権埼玉大会の5回戦は22日、本県初の4連覇を狙った春の関東大会王者・浦和学院が姿を消す波乱があった。昨秋の県大会を制した花咲徳栄も苦杯を喫した。両チームを破った聖望学園、春日部東に加え、本庄一、市立川越も8強入り。…
勝利の瞬間、ベンチの仲間たちと抱き合って喜んだ。勝利を決める一打を放った川越初雁の3年生松坂賢選手は、1年の冬に青森の高校から編入してきた転校生。新天地で出会った仲間とともに、甲子園を目指して戦い続けている。 松坂選手は神奈川県出身。中学時…