責任感でチームまとめ 浦和学院3年・島津裕真主将

 九回裏2死三塁の場面で打席に立った。失策が絡み4点を失ったが、回を追うごとに本来の攻守を取り戻し、1点ずつ着実に取り返した。あと1点。しかし、打球はセンターのグラブに吸い込まれた。

 主将で4番打者。昨年甲子園に出場した経験があるのは自分一人だ。大会初の4連覇を目指してチームを引っ張らなくてはならない。森士監督やコーチからアドバイスを受ければ、忘れないよう大学ノートに書き留めてきた。3年間で5冊になる。観戦に来た母みどりさん(43)は「野球での経済的な負担を気にして、私に甲子園で恩を返すからねと言ってくれた」と話す。

 守備の乱れから浮足立ったナインをイニングごとに集めた。「気持ちを切り替えよう」。試合後、森監督は「選手らの信頼もあり、よくチームをまとめてくれた。最後の打席、こいつでだめなら仕方ない」と振り返った。

 「体が泳ぎました。僕の努力不足です」。丁寧な言葉で報道陣の質問に答えた気丈な主将。仲間の輪に戻り肩を抱かれたとたん、涙があふれた。

毎日新聞埼玉版)