投高打低 聖望、堅守光る 大会回顧 高校野球埼玉大会

 聖望学園が6年ぶり3度目の夏の甲子園キップを手にして、29日に閉幕した第91回全国高校野球選手権埼玉大会。スター選手は少なかったが、高校生らしい「全員野球」の好チームが目立った。

 4強は、聖望学園埼玉栄、春日部東、川口青陵だった。私立と公立が2校ずつ勝ち残った。

 大会前は、春の関東大会を制した浦和学院やプロ注目の右腕中村を擁した春日部共栄が、優勝争いの“先頭グループ”と見られていたが、いずれも敗退。大会終盤の決戦には“第2グループ”と目されていたチームが顔をそろえた感がある。県高野連幹部も「予想できない結果だった」と振り返る。

 聖望学園には、栄光と屈辱を味わってきたチームならではの芯の強さが感じられた。昨春の選抜準優勝から、昨夏は一転して県大会初戦敗退。昨年のメンバーが複数残ったチームは、「力もないのに強いと勘違いして負け続けた時期」(岡本監督)を見事に乗り越えた。盗塁や犠打などでコツコツと得点を重ね、堅守でエース佐藤をもり立てる野球は、甲子園でも通用するはずだ。

 準優勝の埼玉栄は、右腕島野と左腕芹沢を絶妙のタイミングでつなぐ継投策と、1点差の攻防を3度制したしぶとさが際立っていた。春日部東も、千葉と五十嵐の両投手がチームを支えた。川口青陵は、野川ら「3枚看板」の投手力と連打の出る打線の力がうまくかみ合っていた。

 総じて、好投手を中心とする守備力のあるチームが活躍した。1点差の引き締まった攻防となった決勝が、大会全体を象徴していた。

 一方で「評判の長距離打者」がほとんど現れなかったのは、少し寂しい。4強のうち、優勝した聖望学園と春日部東は最後まで本塁打ゼロ。「投高打低」の大会でもあった。

(読売新聞埼玉版)

◇「投高打低」色濃く 数字で振り返る

 158チームが参加した埼玉大会は29日、聖望学園の優勝で幕を閉じた。南北に分かれた昨年より2試合多い157試合の記録や話題を数字で振り返ると、「投高打低」の傾向や関心の高さなどがうかがえる。

■18K
 序盤は、好投手による奪三振が目立った。2回戦では、和光の佐野泰雄投手(2年)が18三振を奪い、長谷川一夫投手(大宮工)が62年に作った1試合最多奪三振記録「21」に迫った。春日部共栄中村勝投手(3年)も、4イニングで9連続を含む11奪三振を記録。1投手が二ケタ三振を奪った試合は17あった。

■30本塁打
 本塁打数は昨年の39本から9本減った。準々決勝以降の7試合では1本しか出なかった。

■54・30・6試合
 コールド試合数は昨年と同じ54。1点差試合数は30で、昨年より7試合減少。延長戦は6で昨年の14から大幅に減った。

■18残塁
 立教新座が4回戦で記録。04年に早大本庄が記録した1試合最多残塁の「19」に次ぐ。9回に勝ち越し、5回戦に進んだ。

■14万2417人
 県高野連によると、全11球場でチケットを購入した有料入場者数は、昨年の13万7592人から4825人増え、史上最多を更新した。26日の県営大宮球場には8505人が詰め掛け、準々決勝としては初めて外野の芝生席を開放。売店の飲料水も売り切れた。

■692万4千件
 朝日新聞のインターネットサイト「アサヒ・コム」の高校野球特集・埼玉大会への期間中のアクセス数は、昨年の約233万1千件より約3倍に増えた。最も多かった日は、準決勝があった28日の約87万4千件。Aシードの浦和学院が5回戦で敗れた22日も約85万件が集中した。

朝日新聞埼玉版)