しぶとく、たくましく成長 聖望学園

 聖望学園が昇り竜の勢いだ。浦和学院戦に続いて昨年覇者をなぎ倒し、優勝候補に躍り出た。昨春の選抜準優勝の意地を見せた逆転勝ちに、岡本監督は「たくましくなった」と目を細めた。

 ともに細かい野球が身上の両チーム。粘りで一歩勝った。長打は1本もなし。とにかくつないだ。三−五回の得点シーンはいずれも、犠打と単打を絡めてもぎ取った。エース佐藤も粘りの投球。3失点後の四回以降は散発2安打に抑えて完投した。

 岡本監督の采配も絶妙だった。本庄一の機動力を警戒し、「足があるから」と一塁手に城戸を投入した。城戸は0−3の三回無死一、三塁、相手打者のバントに、素早く反応してスクイズを阻止。野選、失策などから失点した、自滅ムードを断ち切って期待に応えた。

 「浦和学院に勝って受け身に回っていた。今までならずるずる失点してしまうところだが、挑戦者に戻ってくれた」と指揮官。満面の笑みだった。

 昨秋、今春と勝ち切れなかった今チーム。大会1カ月前の6月に基本に立ち返り、バントや走塁を一から鍛え直した。精神面でも成長し、城戸は「勝てるチームになった。1点差に強さが出ている」と自信を見せた。

 エース大塚頼みだった昨季とは違うしぶとさ。6年ぶりの頂点も視野に入ってきた。積極姿勢を貫くナインに岡本監督は「やるんちゃうん」。確かに、やってくれそうな気がする。

埼玉新聞