川口青陵が初進出 ベスト8出そろう 高校野球埼玉大会第11日

(23日・県営大宮ほか)

 第11日は2球場で5回戦の残り4試合が行われ、ベスト8が出そろった。昨秋の関東大会8強の川口青陵が、昨夏の南埼玉大会準優勝の立教新座を6−1で下して創部初の8強入りを果たした。

 川口青陵は二回に、海老沢と田中の適時打などから3点を先制。四、五、七回もそれぞれ1点を奪って、立教新座に快勝した。

 埼玉栄は大井を6−1で破った。埼玉栄は三回、林の2点適時打で先制。2点リードの七回には犠打や盗塁などを絡めて3点を追加した。春日部共栄はプロ注目のエース中村が富士見を3安打完封。浦和実は右腕植木が川越初雁を4安打に抑え、5−0で退けた。

 第12日は25日、県営大宮で準々決勝2試合が行われる。

◇手堅さ光る挑戦者 川口青陵

 川口青陵といえばフルスイングの伸び伸び打線が売り。「三振オッケー、併殺オッケー」と小松崎監督。だが勝敗の行方を決したのは、手堅い小技だった。

 敵失で1点を先制した直後の二回無死満塁。好投手の立教新座・矢部を前に「もう1点欲しかった」という同監督が出したサインは「1カ月ぶり」というスクイズだ。

 打席には9番海老沢。「緊張したけど死ぬ気で決めようと思った」の言葉通り、初球から仕留めて追加点。完全に流れを引き寄せ、田中も適時打で続いて、この回計3点を奪って勢いに乗った。

 放った9安打のうち長打は1本だけだが田中、野川の機動力あり、小技ありと随所で手堅さが光った。「うちはそんなに打てないから」と同監督は笑うが、そこには春の県大会初戦敗退という苦い経験が生きている。

 「秋の県大会で準優勝して春はどっしり構える野球をしてしまった」と主将の田中。この夏は違う。昨秋の関東大会8強のおごりはみじんもない。ただ愚直に次の塁を狙う気迫だけが伝わる。「これからも挑戦者でいく」と指揮官。夏は初の8強入り。ここから未知なる領域に踏み込むが、原点に戻った川口青陵の視界は良好だ。

埼玉新聞