投げ抜いてエース限界 大宮東・竹沢投手

 7回裏1死二塁。大宮東の竹沢弘通投手(3年)の顔がこわばった。決め球の変化球を、市立川越の2番吉川佳季選手(同)に三塁打にされ、1点を失った瞬間だ。この回終了後、2年生投手と交代。再びマウンドに戻ることはなかった。

 今大会ここまで、延長11回を含む3試合を1失点で投げ切った。だが、この日は試合前のブルペンから調子が出なかった。変化球の切れが悪く、狙った場所に投げられなかった。

 今春、疲労から右腕を痛め、1カ月半ほど練習を控えた。それでも「夏はお前しかいない」との仲間の言葉に励まされ、6月ごろから練習に復帰。今大会は「おれがエースだ」と自分に言い聞かせ、痛みをこらえて投げてきた。それが限界に達した。

 「マウンドは『楽しい場所』のはずなのに……。いつもはうれしい、仲間の『ナイスピッチ』のかけ声も、今日はくやしかった」

 そう話すエースを吉本博監督(43)は「疲れがたまっていたのは確か。竹沢がいなければここまで来られなかった」と気遣った。

朝日新聞埼玉版)