監督と主将18歳の涙 立教新座「昨夏準Vの二遊間」城崎・藤コンビ

 立教新座の主将の藤卓哉(3年)は敗戦後、球場の外で、「18歳監督」の城崎智弘と握手を交わした。それまで毅然(きぜん)と撤収の指示をしていた若き指揮官の目から、どっと涙があふれた。

  昨年、あと一歩で逃した甲子園出場権。二遊間を組んでいた2人は、今年も手にすることができなかった。

 2回、二つの失策が絡み、いきなり3点を献上してしまった。これまでの4試合は、すべて先制して勝ち上がってきただけに、さらに焦りが生まれた。守りのミスが続き、ずるずると失点した。

 打線も封じられた。

 川口青陵のエース野川拓斗(同)を想定し、2日前から、同じ左腕の大学生投手を招いて打ち込んできた。

 しかし、先発したのは右腕の布施翔太(同)。直球と手元で曲がる変化球に戸惑い、凡打が続いた。

 8回、ようやく意地を見せた。「こんなところで負けるチームじゃない」と、坂口裕一朗(2年)が、初球をはじき返した。打球が中堅手の頭上を越え、返球の中継も乱れる間に、一気に生還した。「もっと先輩たちと野球がしたい」という気持ちで打ち、走った。

 「昨夏のリベンジを」と、監督を引き受けた城崎とともに歩んだ数カ月。選手同士だった立場が変わり、かえって意思疎通が思うようにいかない時期もあった。だが、城崎自ら守備練習に加わるなど、徐々に一体感が増した。

 藤は「いつかは打てるだろうと思っていたが、気付いたら試合が終わっていた」と、しばらくは敗戦の実感がわかない様子だった。それでも、目を赤くはらしながら「この数カ月、城崎さんと一緒で楽しかった」と笑顔を見せた。

朝日新聞埼玉版)