2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

最前列で仲間鼓舞 和田洸太郎投手(松山3年)

「食らい付いていけ!」。大会直前に脊髄(せきずい)損傷が分かり、ベンチで控えた松山の背番号11、和田洸太郎投手(三年)は、最後まで仲間に声援を送った。 「継投が基本」(滝島達也監督)という新チームで、投手陣の一角を期待された。同学年の永野和…

難病おしてノッカー務め 越ヶ谷3年・小林直紘君

2年生だった昨夏は、中堅手として活躍した県営大宮球場。今大会は試合前の7分間、外野にノックを打つノッカーを務めた。「選手として出たかったけど、みんなが最高のプレーをしてくれた。悔いはありません」と笑顔で語った。 安定した守備を買われ、1年秋…

マウンド立てぬ悔しさ 浦和北3年・勝谷優詞主将

「最後に投げたかった」。球場の外でうずくまり、真っ黒になった手でコンクリートの床を何度もたたいた。 2年生で背番号「1」を付け、エースとして昨秋、地区大会を勝ち抜き、今春は県大会の16強入りした。しかし両大会とも四死球から崩れ、浦和学院に敗…

「自信のある直球で」 大宮東・古谷投手、勝負貫く

(春日部共栄4―3大宮東) 3―3で迎えた9回表。大宮東の先発、古谷敦裕(3年)は「負けたくない」と気持ちが高まっていた。指に力が入りすぎ球がひっかかった。先頭打者に死球、犠打と単打で1死一、三塁。 一塁側の応援席を眺めながら腕を大きく広げ、…

春日部共栄、競り勝つ 全国高校野球埼玉大会

(19日・県営大宮ほか) 第9日は3球場で4回戦の8試合が行われ、春日部共栄が九回に勝ち越し、大宮東に4−3で競り勝った。 南稜は伊奈学園に9−4で逆転勝ちし16年ぶりの16強入り。西武台はDシード浦和北の追撃をしのいで6−5で勝った。Bシード…

最後の夏 大きな財産 蓮田松韻2年 渡部一樹選手

「試合終了!」。あふれる涙を帽子を目深にかぶって隠した。まだ2年生だが、これが最後の夏。ラストゲームは3打数無安打だった。「ちょっと悔いが残る」 定時制高校の軟式野球部員だった。物足りなさを感じていた時、熱血指導で聞こえる内迫博紀監督の名を…

飛躍誓った2年生コンビ 伊藤康介投手(上尾)

「落ち着いていこう」。上尾の伊藤康介投手(二年)はピンチの度に、河合貴大捕手(同)と声を掛け合った。だが、春日部東に傾いた試合の流れを取り戻せなかった。 2人は、シニアリーグ時代から、上尾市の同じチームに所属。伊藤投手は「上尾を選んだのは、…

和光・佐野投手、13奪三振報われず

最後の打者は中飛に倒れた。ゲームセット。ホームベース上で整列し、握手を交わした選手から健闘をたたえられると、こらえていた涙があふれた。 1年の秋から和光のエースナンバーを背負う佐野泰雄(3年)。大会屈指の本格派左腕として注目された。この日も…

仲間に支えられ成長 坂戸3年・小久保大輔主将

今春県大会4強の坂戸西に「全員でアウト1個、全員でヒット1本」の合言葉で挑んだが、及ばなかった。 昨夏の新人戦で坂戸西と対戦。エース長島僚大投手(17)に完封され、0−3で敗れた。「今度は坂戸が勝つ」。新チームの目標とはうらはらに、当時主将…

春日部東が上尾破る 高校野球埼玉大会

(18日・県営大宮ほか) 第8日は6球場で3回戦の残り16試合が行われ、4回戦へ進む32校が決定。城北埼玉が白岡を2−0で破り、創部30年で初の3回戦突破を決めた。 昨年4強の春日部東はCシード上尾に9−2でコールド勝ち。入間向陽の林、所沢北…

にじんだ投手への思い 永田智大内野手(聖望学園3年)

「(目の前の)一人のバッターに全力でいけ」。昨年夏の甲子園大会で登板したものの、ひじの故障で野手に転向した聖望の永田智大選手(三年)は、自分の代わりにマウンドに立つ投手に声をかけ続けた。 昨年新チームになってからは、コントロールと変化球の良…

仲間と探した恩返しも… 大井3年・島津拓真投手

一回表。適時打で先制された場面で、左ポケットに忍ばせたお守りを握りしめた。「まだ1点。大丈夫だ」。昨夏、強豪浦和学院の主将だった兄裕真さん(19)が、5回戦で敗れた直後、弟の拓真君(17)に託したお守りだった。 小学2年で兄と一緒に野球を始…

川越東、昨年の覇者破る 高校野球埼玉大会

(17日・県営大宮ほか) 第7日は6球場で3回戦16試合が行われ、Bシード川越東が昨年覇者の聖望学園に8−2で快勝。春日部共栄は延長の末、9−8で川越西にサヨナラ勝ちした。 川越東は鈴木の先制適時打など15安打を放って聖望学園の6人の投手陣を…

「体許す限り指導を」育成功労賞に青木康行・鴻巣監督

高校野球の発展に寄与した指導者を日本高野連と朝日新聞社がたたえる今年の「育成功労賞」に、鴻巣高校監督の青木康行さん(54)が選ばれた。長年にわたり、目標に向けて努力することの大切さを球児に教えてきた。8月15日、阪神甲子園球場で表彰される…

激戦必至の好カード きょうから3回戦

最大の注目は、昨年覇者の聖望学園−Bシード川越東。聖望学園は1回戦に先発したエース滝瀬、川越東は今大会初先発となる高梨の登板が予想される。最速140キロ超の直球を投げる左腕高梨が粘り強い聖望学園打線をいかに抑えるか。 昨年4強の春日部東−Cシ…

“豪打”復活へ第一歩 1、2回戦で本塁打5本の大宮東

第92回全国高校野球選手権埼玉大会は2日間の休みを挟み、17日から3回戦に入る。今大会は1、2回戦で本塁打36本と昨年同時期の16本と比べて倍以上に量産中。その中でもトップの5本を放っている大宮東を訪ねた。 「カキーン。カキーン」。甲高い打…

選手に最高の舞台を 県営大宮球場整備の大沢徹さん

埼玉大会が開幕して1週間。熱戦を繰り広げる選手たちを多くの裏方が支える。県営大宮球場のグラウンドキーパー、大沢徹さん(37)もその一人。親子2代で球児を支え、「最高の舞台を提供したい」と入念な整備を続けている。 大沢さんは、さいたま市大宮区…

仲間とつなぐ投球実る 浦和西3年・清水謙志郎投手

浦和西らしい「投手がつなぐ野球」が粘りのサヨナラ打を生み出した。 先発は2年の松原功将君(17)。五回から3年の清水謙志郎君(17)が中継ぎ、九回表は3年の冨沢翔太君(17)が打者3人で仕留め、その裏の攻撃をリズムに乗せた。「ダッシュ練習を…

主戦支えたサイドスロー 三吉貴人投手(滑川総合3年)

「負ける気はしなかった。腕は振れていた…」。同点に追いつかれ、なお九回裏2死満塁のピンチ。三吉貴人投手(三年)が投げたシンカーはセンター前にはじき返され、滑川総合の夏は終わった。 昨秋以降、エースの小田部大輝投手(同)に「頼りきり」(五十嵐…

桶川、浦和西がサヨナラ 高校野球埼玉大会

(14日・上尾市民) 第6日は雨で順延になった2回戦2試合が行われ、ともに九回逆転サヨナラで決着した。浦和西は新田の2点二塁打で越谷北を3−2で下し、初の3回戦進出。桶川は畑野の適時打で滑川総合を7−6で下した。 2日間の休みを挟み、第7日は…

響いた序盤の失点 シード校の朝霞、姿消す

◇被安打3…力投報われず涙―朝霞・尾崎亮投手(和光3―2朝霞) 「ナイスピッチング」 胸の中で何度もつぶやきながら、朝霞の尾崎亮(3年)は完投した。 惜しまれるのは立ち上がり。1回2死一、二塁、高めに入った甘い直球を右中間に運ばれる二塁打を浴び、…

苦手の“太陽”に力もらう 川越総合3年 豊田智史投手

「野球をやってきて良かった」と心から思った。ボランティアで接してきた介護施設のお年寄りの「まず1勝。ファイト!」という期待にも応えられた夏だった。 紫外線を多量に浴びると、失明につながる恐れのある難病を患っている。中学時代に野球をあきらめた…

増渕弟好救援!鷲宮が逆転勝利/埼玉大会

ヤクルト増渕竜義投手(22)の弟、鷲宮・増渕雅也投手(2年)が夏初登板初勝利を挙げた。兄とは違う左腕投手は、1点を追う4回途中から登板。9回まで1安打7奪三振で投げ切り、逆転勝利を呼び込んだ。 ブルペンにいた細身のサウスポー増渕が、ダッシュ…

和光・佐野19人スカウト熱視戦/埼玉大会

国内8球団19人のスカウトが熱視線を送る中、タイ人の母を持つ和光・佐野泰雄投手(3年)が朝霞戦に先発して、3−2で接戦を制した。春の県大会ベスト8の強敵に7安打こそ許したものの、9三振を奪って2失点で完投した。佐野は「打たせて取れば、周りも…

和光、朝霞に競り勝つ 熊谷西、シード完封

(13日・県営大宮ほか) 第5日は9球場で2回戦21試合が行われ、3試合でノーシード校がシード校を破った。和光はCシード朝霞に3−2で競り勝ち、蓮田松韻はDシード立教新座に8−2で快勝。熊谷西はDシード武南に4−0で完封勝ちした。 鷲宮は谷沢の…

役割の自覚促し束ねる 秀明英光・吉橋一真主将

9回表2死。大粒の雨が降りしきる中、秀明英光の主将の名前がアナウンスされた。 吉橋一真(3年)。昨秋、新チームになってから公式戦でスタメンはない。今大会2試合目となったこの場面で、出場機会を得た。 「悔いのないように思い切って振る」と決めた…

先輩が誇れる母校に… 浦和実1年・鈴木琢磨投手

「いい投球だったな」。三回裏、1年生の鈴木琢磨君がマウンドを降りると、背番号「1」を付けた3年生の菊池健太君がベンチ前で鈴木君の肩を抱いた。「先輩すみません」。帽子のつばを下げ涙を流した。 「お前の調子は尻上がりなんだから、明日は試合前に長…

最後の夏に努力結実 堂田恵耶外野手(不動岡3年)

打線が振るわず敗れた不動岡。背番号20の堂田恵耶外野手(三年)は、6番レフトで先発出場し2安打。五回にはチーム唯一の得点のホームを踏んだが、「もっと打ってみんなと勝ち続けたかった」と、泣き崩れた。 昨秋の新チーム発足後、一度はレギュラーをつ…

大井が埼玉栄破る 所沢西、延長13回制す

(12日・県営大宮ほか) 第4日は10球場で2回戦24試合が行われ、2試合でサヨナラ勝ち。大井は九回に布施の適時打で、昨年準優勝の埼玉栄を7−6で撃破。所沢西は延長十三回の末、小川を1−0で下した。 春季関東大会覇者のAシード浦和学院は浦和実…

「剛と柔」双子ライバル、夢は一つ 市立川口・古川兄弟

「剛と柔」 市立川口の双子の2年生、古川大と、真は、長井秀夫監督からそう評される。左翼手の兄、大は長打力があり、右翼に入った弟、真はしぶとさが持ち味だ。 3点を追う7回裏。2人が躍動した。先頭打者9番の真が、三遊間を抜く左前安打で反撃の口火…