「体許す限り指導を」育成功労賞に青木康行・鴻巣監督

 高校野球の発展に寄与した指導者を日本高野連朝日新聞社がたたえる今年の「育成功労賞」に、鴻巣高校監督の青木康行さん(54)が選ばれた。長年にわたり、目標に向けて努力することの大切さを球児に教えてきた。8月15日、阪神甲子園球場で表彰される。

 自身は群馬県立伊勢崎東高校(現伊勢崎高校)でプレーした。2年生のころ、「高校の教師になればずっと野球にかかわれるぞ」と監督から言われ、指導者を目指した。「先生は野球が好きで、その情熱はすごかった。自分も生徒に伝えたい思った」と振り返る。

 24歳で行田工(現進修館)の教員になり、本庄、川本などに異動しながら、監督、部長、顧問として球児の指導にあたった。

 30代後半までは、目先の1勝にこだわり、情熱が空回りしたこともある。本庄時代、選手たちに厳しいノックを受けさせたことや、何十周のベースランニングをさせたことがあった。耐えかねた部員9人全員から「先生の下ではやれない」と言われ、生徒一人ひとりと、ひざをつき合わせて話し合った。

 どんな指導をすればよいのか。迷いがあったこのころ、社会人になった卒業生が何人も訪ねてきた。「『あきらめずに努力し続ける』という先生の言葉の意味がやっと分かった気がする」と言われた。指導者にとって大切なのは、「野球を通して人を育てること」と分かるようになった。基本に忠実なプレーを教える一方で、あいさつや礼儀にもこだわってきた。

 昨年からは鴻巣で監督を務める。定年まであと5年ほど。「自分の高校野球人生の集大成として、体が許す限りグラウンドで指導し続けたい」。受賞の喜びをそう語った。

朝日新聞埼玉版)