和光・佐野19人スカウト熱視戦/埼玉大会

 国内8球団19人のスカウトが熱視線を送る中、タイ人の母を持つ和光・佐野泰雄投手(3年)が朝霞戦に先発して、3−2で接戦を制した。春の県大会ベスト8の強敵に7安打こそ許したものの、9三振を奪って2失点で完投した。佐野は「打たせて取れば、周りも乗って雰囲気が良くなるから。投手戦になると思ったけど、点が取れて今日は全員で勝った」と喜んだ。

 調子自体は良くなかった。前日(12日)の練習でも「球が伸びなくて、沈む感じだった。でも気合全開で行こうと思った」と振り返った。この日の最速は141キロ。昨夏の初戦、小鹿野戦で記録した18三振には遠く及ばなかったが、それでも左腕からの鋭いスライダーを有効に使った。日本ハムの今成泰章スカウトは「腕がしなやかで、変化球がいい。天性の感覚の良さがあって、身体能力が高い」と話し、評価を下げることはなかった。

(日刊スポーツ)

◇タイ生まれの和光・佐野、9K勝利に「よっしゃー!」

 埼玉ではタイ生まれの今秋ドラフト候補左腕で和光の佐野泰雄(3年)が2失点9奪三振の完投で、8球団のスカウトをうならせた。

 バンコク生まれの雑草左腕がシード校をなぎ倒した。「よっしゃー!!」。佐野は雄たけびを上げながら、大粒の雨を切り裂く力投。朝霞に7安打7四死球を許したが、MAX140キロの直球と縦に落ちるカーブで9三振を奪った。フォームを崩し、6月の練習試合は1勝もできず。「開き直って、思い切り投げた。声は気合が入ってると自然に出ちゃうんです」とほおを緩めた。

 プロ注目の最速142キロ左腕だ。この日も、国内8球団のスカウトが熱視線。6人態勢で視察した巨人の山下スカウト部長は、「腕を大きく振れるし、右打者の内角へ投げ込む直球が良い」。広島・苑田スカウト部長も「左腕であんなに良いカーブを見たのは工藤(現西武)以来」と目を丸くした。高校から本格的に投手転向した。部員20人の野球では無名の公立校。「ほかに投手はいない。完投するしかない」と熊井康二監督(27)。週末は多いときで計4試合に先発する佐野は「年間100試合くらいは投げていると思う」。実戦で1日約200球を投げるうちに、球速は17キロアップ、独学で習得したカーブも磨きあげた。

 日本人の父とタイ人の母の間に生まれた。毎日、昼食は母・ウェウワァンさんが作るおにぎり8個。具は疲労回復にも効く「好物の昆布が多い」。和光の最高成績は県16強。「県8強、できればプロにも入りたい」と佐野。タフさで、埼玉の“タイ風の目”となる。

 ◆佐野 泰雄(さの・やすお)1993年1月18日、タイ・バンコク生まれ。17歳。2歳で日本に移住。和光三小3年から「和光リバーツインズ」で外野手で野球を始める。中学は和光シニア。昨夏の県大会初戦(2回戦)の小鹿野戦では18奪三振で2安打完封。50メートル6秒5。高校通算21本塁打。家族は両親と姉、妹。177センチ、75キロ。左投左打。

(スポーツ報知)

◇和光・佐野、熱投!9K完投勝ち

 埼玉大会で母親がタイ人のハーフでドラフト候補の左腕、和光の佐野泰雄投手(3年)が朝霞相手に2失点完投。9奪三振でチームを3回戦に導いた。西東京大会ではシード校が3回戦から登場、早実日大鶴ケ丘がコールド勝ちしたが、国学院久我山と八王子が敗退した。群馬大会は予定されていた10試合すべて、栃木大会は8試合中7試合がそれぞれ雨天中止となった。

 そぼ降る雨にぬれながら、佐野は必死に腕を振った。最後の打者を二ゴロに打ち取ると、会心の笑み。152球の熱投の末に、最後の夏の1勝目をつかんだ。「(ぬかるんだ)足場が気になりましたが、思い切り腕を振った。最後は気合。気合で何とか抑えられました」

 今大会注目の左腕が、7四死球の乱調。毎回のようにピンチを招き2点を失った。しかし、要所で得意のカーブがさえた。最速142キロの速球に、縦に割れるカーブを交え9奪三振。苦しみながらも能力の高さを示した。

 母はタイ人のウェウワァンさんで、日本とタイの国籍を持つ。バンコクで生まれ、3歳で日本に移住。中学までは外野手だったが、高校入学直後に熊井康二監督のすすめで投手に転向した。

 同監督は「投手をやってみないかと聞いたら、やりたいと言ってきた。直球は145キロを目指せと言っている」とさらなる成長を期待した。

 ネット裏からはプロ8球団のスカウトが熱視線を送った。この日は本調子ではなかったが、その評価は高い。「左投手であれだけ腕を振ることができれば合格点」と巨人・山下スカウト部長も認めた。

 「この夏の目標は甲子園に出ること。そしてプロ野球選手になりたい」。ハングリー精神旺盛な左腕が、埼玉の夏を沸かせる。

(サンスポ)