主戦支えたサイドスロー 三吉貴人投手(滑川総合3年)

 「負ける気はしなかった。腕は振れていた…」。同点に追いつかれ、なお九回裏2死満塁のピンチ。三吉貴人投手(三年)が投げたシンカーはセンター前にはじき返され、滑川総合の夏は終わった。

 昨秋以降、エースの小田部大輝投手(同)に「頼りきり」(五十嵐俊一監督)だったチーム。2人目を期待されたのが、三吉投手だった。もともとはオーバースローだったが、監督の指示でサイドスローに転向。冬場に走り込み、下半身を強化した。今年五月、小田部投手が右ひじを故障すると、合わせるように調子を上げ、チームを支えてきた。

 痛み止めを飲んで登板した小田部投手が崩れた五回裏、一打同点のピンチに登板。「1点も取られないつもりだった」。言葉通り、相手から三振を奪ってピンチを断ち切り、八回まではノーヒットに抑えた。

 だが、九回に4安打を浴びてサヨナラ負け。三吉投手は「もっとみんなで野球がしたかった」と泣き崩れた。「三吉がいてだいぶ精神的に楽だった。信頼していたから」。こう気遣った小田部投手からも涙がこぼれた。

東京新聞埼玉版)