最前列で仲間鼓舞 和田洸太郎投手(松山3年)

 「食らい付いていけ!」。大会直前に脊髄(せきずい)損傷が分かり、ベンチで控えた松山の背番号11、和田洸太郎投手(三年)は、最後まで仲間に声援を送った。

 「継投が基本」(滝島達也監督)という新チームで、投手陣の一角を期待された。同学年の永野和利、西野祐希の両投手と共に投げ込んで、夏に向け体をつくってきた。

 六月。腕がしびれ握力が下がり、はしが持てないまでになった。脊髄からの出血と診断され、10日間、検査入院。入院中、チームの仲間から「戻って来い」とメールや電話が相次いだ。まだ病名がはっきりせず体調は万全ではないが、滝島監督は「普段から仲間の輪を大切にするように指導している。ベンチに和田は必要」と判断。七月上旬、背番号を渡されて泣いた。

 この日、登板の機会はなかった。だが、ベンチの最前列でナインを鼓舞し続ける声は、途切れることはなかった。試合後、球場の通用口前。泣き崩れるナインの横で「みんな、(自分を)待っててくれてありがとう」と言うと目から涙があふれた。チームの夏は終わったが、一緒に戦った仲間はこれからも大切な支えだと信じている。

東京新聞埼玉版)