「剛と柔」双子ライバル、夢は一つ 市立川口・古川兄弟

 「剛と柔」

 市立川口の双子の2年生、古川大と、真は、長井秀夫監督からそう評される。左翼手の兄、大は長打力があり、右翼に入った弟、真はしぶとさが持ち味だ。

 3点を追う7回裏。2人が躍動した。先頭打者9番の真が、三遊間を抜く左前安打で反撃の口火を切った。内野安打や四球などで1死満塁になり、4番の大が打席に入る。

 「大、大、お前の力見せてやれ。思いっきり」。三塁上から真が叫んだ。

 目をやってうなずく大の口元には、笑みが浮かんだ。「弟の気持ちが伝わってきた」。変化球を強く振り抜くと、打球は右翼線に落ち、2点適時打になった。弟がホームを駆け抜けたのを見ると、一塁上で雄たけびを上げた。

 2人とも好きな食べ物はカレー、嫌いな食べ物はトマト。野球を始めた時期も一緒なら、「地元の公立から甲子園に行く」という夢も同じだ。

 一方で、どちらかが活躍すれば、自分もとライバル心を燃やす。

 この日、先に活躍したのは3回に安打を放った大。真は、チームメートから「兄貴が打ってるぞ」とハッパをかけられた。「同じ練習をしてきたんだから自分も打てる」。そんな気持ちが7回の攻撃に結びついた。

 この夏は、優勝候補に1点差で敗れた。「ここぞの集中力が違った」と真。「私立を倒さないと、甲子園への道は開けない」と大。

 もう1年、2人そろって夢を追う。

朝日新聞埼玉版)