仲間に支えられ成長 坂戸3年・小久保大輔主将

 今春県大会4強の坂戸西に「全員でアウト1個、全員でヒット1本」の合言葉で挑んだが、及ばなかった。

 昨夏の新人戦で坂戸西と対戦。エース長島僚大投手(17)に完封され、0−3で敗れた。「今度は坂戸が勝つ」。新チームの目標とはうらはらに、当時主将になったばかりの小久保大輔一塁手(18)は「打たなければ」と気負い、打順を下げたという。

 人柄のよさを買われて主将に選ばれたが、逆に災いし、走塁ミスをした仲間に注意できず、副主将から「何で注意しないんだ」と言われたこともあった。

 まとまるきっかけとなったのは今春の県大会。エラーを続け、川越東に0−7でコールド負けした。翌日のミーティングで「全員で戦う野球をしよう」と話し合った。直後に自身もバッティングフォームを変え、後輩にもアドバイスできるようになった。

 この日、坂戸西はエース長島君が先発。3点リードされた五回にホームを踏んだが、1−3で敗れた。

 「何回も挫折しかけたけど、支えてくれてありがとう」。試合後、仲間の前で言うと、涙が流れた。

◇1年越しの宿願果たす 城北埼玉3年・村上啓投手

 最後の打者を打ち取った瞬間、村上啓投手(17)は、この試合で初めてガッツポーズを見せ笑顔でマウンドを駆け下りた。「同じマウンドで完投する」。1年越しの宿願を果たし、チームを創部初の4回戦進出に導いた。

 市営浦和球場のマウンドに立つのは1年ぶり。スパイクで踏みしめると、昨夏の記憶がよみがえった。2年生ながら背番号「1」を付けて臨んだ1回戦。緊張から腕が縮み、開智打線に連打を浴び三回で降板した。「チームに申し訳ない」。ぼうぜんとして頭が真っ白になった。

 この1年で、球速が10キロ増した。内角直球で打たせて取る。この日奪った27のアウトのうち、三振は一つだけ。チームも堅い守りが身上となった。

 マウンドを駆け下りる村上君の肩を真っ先に抱いたのは、一塁手の木林佑輔君(17)。昨夏、降板した村上君を控え投手として救援したものの、自身も打たれた。「ありがとうな」。村上君はとびきりの笑顔で応えた。

毎日新聞埼玉版)