マウンド立てぬ悔しさ 浦和北3年・勝谷優詞主将

 「最後に投げたかった」。球場の外でうずくまり、真っ黒になった手でコンクリートの床を何度もたたいた。

 2年生で背番号「1」を付け、エースとして昨秋、地区大会を勝ち抜き、今春は県大会の16強入りした。しかし両大会とも四死球から崩れ、浦和学院に敗退。「決勝で浦和学院とやりたい」。そう誓ったが、この日はマウンドにすら立てなかった。

 5月、部員同士のいじめが発覚し、1カ月の対外試合禁止処分を受けた。焦りからブルペンにこもり毎日150球近く投げ続けた。7月に入り、背中に痛みを感じるようになり、制球難に陥った。

 「先発は島根」。西武台戦の前日、監督から告げられた。自身は一塁手としての出場。島根啓輔投手(18)にすべてを託した気持ちにうそはない。しかし公式戦で投げられない自分が情けなかった。

 「チームを引っ張れなかった。ごめん」。試合後、泣き崩れる主将の肩を、仲間が「ありがとう」「お疲れ様」と口々に言って抱いた。

毎日新聞埼玉版)