“豪打”復活へ第一歩 1、2回戦で本塁打5本の大宮東

 第92回全国高校野球選手権埼玉大会は2日間の休みを挟み、17日から3回戦に入る。今大会は1、2回戦で本塁打36本と昨年同時期の16本と比べて倍以上に量産中。その中でもトップの5本を放っている大宮東を訪ねた。

 「カキーン。カキーン」。甲高い打球音が専用グラウンドに鋭く響く。センター115メートル、ライト91メートル、レフト85メートルの防護ネットに打球が次々とライナーで当たる。

 1回戦で寄居城北に12−2でコールド勝ち。2回戦は不動岡を7−1で下した。2試合で5本塁打。1回戦では高山が2打席連発したほか、野口、今川が柵越え。2回戦で古谷がアーチをかけた。同校OBで11年目の吉本監督は「高山は長打力があるが、チームで5本も打つとは思っていなかった」と驚いている。

 平尾(現埼玉西武)、北川(オリックス)らを擁し、かつては“豪打”で鳴らした。1993年の選抜大会準優勝。夏の埼玉大会は優勝1回、準優勝4回を誇る。

 しかし95年、96年に連続準優勝、98年の東埼玉大会の4強以降はベスト8さえもない。強打のイメージは年々薄れ、昨年は5回戦敗退。今チームは秋、春ともに地区予選で敗れ、春は浦和学院に1−7で完敗した。

 それだけに今大会に懸ける思いは強い。主将の鈴木は「浦学に力負けして悔しい思いは全員が持っている。その悔しさを夏にぶつけたい」と話す。身長184センチ、体重80キロの高山以外には、体格に恵まれた選手は少ない。

 「自分は守備中心のチームだと思っている」と鈴木。打力を付けるための特別な練習はしていない。名門の厳しい練習の成果と、勝ちたい気持ちがバットに乗り移っているのかもしれない。

 3回戦の相手は浦和。勝てば春日部共栄と当たる可能性もある。高山は「この調子で打っていきたい」と力強かった。

埼玉新聞