選手に最高の舞台を 県営大宮球場整備の大沢徹さん

 埼玉大会が開幕して1週間。熱戦を繰り広げる選手たちを多くの裏方が支える。県営大宮球場のグラウンドキーパー、大沢徹さん(37)もその一人。親子2代で球児を支え、「最高の舞台を提供したい」と入念な整備を続けている。

 大沢さんは、さいたま市大宮区の造園会社「光風園」の社員。10年前から年間を通して、同球場のグラウンド整備を担当している。

 高校野球だけでなく、少年野球やプロ野球の舞台になり、今年度は約170日使用される。冬のオフシーズンに、芝生を張り替えたり、内野の土をトラクターでならしたりするなど大がかりな手入れをするが、日々のコンディションづくりも怠らない。気温、湿度、天候によって散水量を変えるなど、整備の仕方が違ってくるからだ。

◇球児支え親子2代

 父親の章平さん(70)は県職員として十数年間、同球場の整備を続けた。大沢さんは「グラウンドは眺めているだけでは駄目。歩いて、足の裏で感じろ」と教えられ、「最近になって、遠目でグラウンドが平らに見えても、歩くことで高低があることがわかるようになった」という。

 今大会中は三塁側のキーパー室から試合を眺め、試合前、5回終了後、試合後に、同社のほかのアルバイトとともに整備にあたっている。ボールのはずみ具合で散水量を決めるが、「イレギュラーや選手が足を滑らせたときはドキッとする」。

 試合中の雨が一番やっかいだという。少しでも安全にプレーが続けられるように、水が浮いたグラウンドを、その後の天候の変化を見越しながら、入れる砂の量を調整する。

◇「全力で整備する」

 1、2回戦はぐずついた天気が続いた。断続的に降る雨に、「毎日が格闘だった」。ベース周りや守備位置に砂をまいて対応した。12日には一時的に雨が強くなり、3試合目の開始をしばらく待ってもらうよう申し入れたことも。「どしゃぶりなら中止も提案できるが、じわじわとグラウンドを傷めるような天候で難しかった」と振り返る。

 17日から大会は再開。甲子園を目指した戦いがいっそう熱を帯びてくる。

 大沢さんは、これまで培ってきた経験を生かして最高の舞台を用意するつもりだ。「全力で整備するので、悔いのない試合、いい思い出をつくってほしい」と話している。

朝日新聞埼玉版)