2番手投手 チームのために 花咲徳栄 上田倖平投手

 先輩たちは昨夏の準決勝で浦和学院に打ち勝ち、甲子園へ進んだ。夢の切符を手にするには避けられない相手。2回から登板した花咲徳栄の上田倖平投手(3年)は「上位には甘い球を投げないよう気を使い、逃げない」と投げきった。

 先発投手が試合中にけがをし、早めの登板になった。得意のスライダーだけでなく、直球にも切れがあった。若月健矢捕手(2年)は「今日の球なら、打たれる怖さはなかった」と感じた。

 昨秋はエース番号「1」を背負っていたが、肩を痛めてしまい、春まで練習ができなかった。

 けがは治ったが背番号は「11」に変わった。不満もあったが、背番号をもらえない仲間もいる。岩井隆監督や投手陣と話し合い、「チームのために投げられればいい」と心に決めた。先発はせず、3〜5回戦では2番手として1死満塁の場面で登板し、ピンチを切り抜けてきた。

 この日は強力打線を相手に2失点。浦和学院森士監督に「上田君のスライダーは難しい」と言わしめた。打線は、相手投手の攻略に手間取ったが、最終回に1点を奪い返し、さらに一打同点の好機も作った。

 岩井監督は試合後、「今大会を通じて、人として大きくなった。エースと認める」とほめた。上田投手は「力は出し切った。下級生は来年の夏、浦学に勝って甲子園に行ってほしい」。

朝日新聞埼玉版)