森監督の妻・志奈子さん 支え続け迎えた歓喜

 初優勝を果たし、「日本一」の監督となった浦和学院森士監督(48)。その名将を陰で支えたのが、妻志奈子さん(52)だ。

 監督生活22年目。グラウンドでは熱心に選手を指導する森監督。選手への愛情は強く、「親から預かった大切な選手。父親のように接していますね」と志奈子さんは話す。

 グラウンドでは選手や野球と真剣に向き合う森監督も、家に帰るとほとんど野球の話はせず、洗濯をしたり、風呂洗いもする「普通の父親」という。2人の息子も立派に育てあげた。

 チームは一時、甲子園に出ても勝てない時期が続いた。そんなときも、森監督は家で表情には出さず、愚痴や弱音もはかなかった。ひたすら耐える夫。妻は「野球の神様は、越えなきゃいけないことがあると言っているのでは」。そう言って励まし続けた。

 決戦前夜、宿舎で会話を交わした森監督と志奈子さん。「ここまで来ることができた。ありがとう」。妻に感謝の気持ちを伝えた森監督。志奈子さんは「まだ一日早いわよ」。

 この決勝をアルプススタンドで観戦した志奈子さん。選手の父母らと共にメガホンを振り、大きな声で声援を送った。そして迎えた歓喜の時。「おめでとう」の言葉と共に、目に熱いものが込み上げてきた。

 「お疲れさま。家でゆっくり優勝をかみしめたいですね」と労をねぎらう。特別なことはあまりしないというが、魚などの和食料理が好きな夫のため、「タイでお祝いしようかな」と笑顔を見せる。

 そして、前日に言うことのできなかった言葉を伝えるつもりだ。「声をからして声援をしてきたかいがあった。ここまで連れてきてくれてありがとう」。そして「夏もまた連れてきてね」と。

埼玉新聞