蕨、市川口下す 春季高校野球県大会

 (24日・県営大宮ほか)

 地区大会を勝ち抜いた39校に、選抜大会に出場した浦和学院を合わせた40校が参加して開幕。県営大宮など3球場で1回戦計8試合が行われ、蕨が延長十四回、門倉の2点適時打で市川口に4−2で競り勝った。

 東農大三は九回に4点差を追い付き、延長十回の末、大宮に5−4でサヨナラ勝ち。滑川総合は延長十一回、根岸が本盗を決め越谷北に2−1でサヨナラ勝ちした。成徳大深谷の左腕安藤は城西大川越打線を2安打完封。そのほか富士見、埼玉栄、南稜、蓮田松韻が2回戦に進んだ。

 第2日は25日、県営大宮など3球場で2回戦8試合を実施。浦和学院花咲徳栄春日部共栄聖望学園のシード勢が登場する。

◇積極性支える強い心 蕨

 蕨が市川口との延長十四回に及ぶ大接戦を制した。黒須監督は「こんなに粘れるとは」と、しぶとく戦い抜いた選手たちに上機嫌だ。

 2−2で迎えた延長十四回、1死から高橋の安打と酒井の二塁打で1死二、三塁のチャンス。清水は浅い中飛に倒れたが、続く門倉が決勝の2点タイムリーを放った。「(先発の)友哉(小副川)のために打ってあげたかった」と、狙っていた初球の外角直球を右前にはじき返した。

 五回の飯塚の適時二塁打も最初のストライクを振り抜いたもので、積極打法が結果に結びついた。黒須監督の統計によると、第1ストライクを振ると打率3割と、安打が出る確率が上がるそうだ。

 とは言え、常に攻めの姿勢がなければ成果は出せない。延長戦では不利とされる先攻も主将の清水は「先に点を取れるから有利」とサヨナラ負けの恐怖を微塵も感じさせない。十四回を投げ切った左腕小副川は「次も全てを出す」。総力を結集し、創部56年目で初となる夏のシード権を懸け、2回戦に臨む。

◇ミスで自滅、再起誓う 市川口

 市川口は、2年生エース左腕太田の力投に打線が応えられず延長十四回に力尽きた。11安打を放ったが、2度のバントミスやサインの見落としなどが試合の流れに水を差し、長井監督は「負けるべくして負けた」と厳しい表情だった。

 それでもスタメンに2年生6人、1年生1人と若いチームだけに指揮官は「敗戦は一つになるチャンス。これを肥やしにしてくれれば」と今後に期待する。主将の横溝も「打線のつながりを意識したい」と夏に向けて、課題の克服を誓った。

東農大三サヨナラ、9回4点差追い付く

 土壇場九回に4点差を追い付いた東農大三が、大宮に延長十回サヨナラ勝ちした。

 八回まで無得点。大宮のエース金森を打ちあぐね、好機で一本が出ない苦しい展開だった。九回の攻撃前、関谷監督は選手を集め「オフの7カ月間を信じている」と奮起を促した。チームは昨年9月、北部地区大会初戦敗退。悔しさをバネに長い秋、冬の練習をこなしてきた。

 4点を追う九回裏、先頭の金子晶の中越三塁打と吉田の内野安打で1点を返す。2死二、三塁から代打嶋田の遊ゴロが敵失を誘って2人が生還。続く工藤が「思い切り引っ張れた」と左越え三塁打を放ち同点に追い付いた。

 これで勢いづくと延長十回1死一、二塁から一塁走者へのけん制がそれ、二塁走者・金子晶が一気にサヨナラの生還した。同点打の工藤は「2回戦も食らい付いていきたい」と力強く話した。

◇守備の乱れからまさかの結末 大宮

 大宮はまさかの逆転負け。犠飛スクイズで得点を重ねたが、守備の乱れから追い付かれ、最後も2番手・猪熊の一塁へのけん制悪送球をカバーし切れず。根岸監督も「県大会レベルではない」と厳しい表情を浮かべた。

 先発金森は九回に4安打を浴びて一挙4失点。主将も務める金森は「大宮は守りのチーム。守備の乱れから慌ててしまうところを修正したい」と夏への課題を挙げた。

◇四隅突く投球で2年生安藤完封 成徳大深谷

 成徳大深谷の身長190センチ左腕安藤が城西大川越打線を2安打完封した。丁寧にコーナーを突き、凡打の山を築いた。秩父との地区代表決定戦の好投で自信をつけたという2年生は「守備から流れを作ってくれた。チームメートに感謝したい」と話した。

 「自分の気持ちをしっかり伝えることを意識した」と女房役の福島陽。要所で声をかけ、公式戦の経験が少ない安藤をリード。泉名監督も「安心して見れる」と期待する安藤は「一戦一戦、勝ちにこだわりたい」と2回戦へ闘志を燃やした。

◇継投でしのぎ11回サヨナラ 滑川総合

 絶妙の継投でピンチをしのいだ滑川総合が延長十一回の末、越谷北にサヨナラ勝ちした。先発永井が九回途中まで1失点の好投。同1死三塁のピンチでマウンドを託された伊藤が「自信を持って投げた」と後続を打ち取った。

 迎えた延長十一回裏1死二、三塁、三塁走者・根岸がスクイズのサインと勘違いして飛び出したが、「突っ込むことだけ考えて思い切り行った」タッチをかわしてサヨナラの生還。主将の和栗は「厳しい試合が次につながる」と話した。

◇松本、貴重な適時打 蓮田松韻

 蓮田松韻が慶応志木の猛追をかわした。「厳しかったが、最後は落ち着いてくれた」と小熊監督は胸をなで下ろした。

 大きかったのは五回に2点差に詰められた直後の5点目。前の回に失策した松本が「何としても打ちたかった」と中前に運んだ。結果的にこの適時打が決勝点となった。

 最大4点あったリードも、八回には1点差まで迫られた。それでも、2年生エース山口は「勝ちたいという気持ちだけだった」と九回を三者凡退に打ち取った。右腕は「次はいい投球がしたい」と白岡戦に目を向けた。

◇後半追加点なく次戦に課題残す 富士見

 一、三回で4点を奪った富士見が、難なく逃げ切りに成功した。

 ただ中盤から後半は追加点が挙げられず、山崎監督は「集中力がない。もっと1点に対し貪欲になってほしい」と注文。主将の谷口も「5、6点目を取れないと」と、次戦への反省を口にした。

 その中で地区大会はエースナンバーを背負っていた右腕大内の復調は明るい材料。7安打浴びながらも1失点での完投に背番号10は、「粘り強く投げられた。次も打たせて取りたい」と大車輪の活躍を誓った。

■1回戦
越谷南
000000010=1
30100000x=4
富士見
【越】荒木−清水、田中
【富】大内−上條
三塁打 小川、新井(富)
二塁打 寺田、荒木(越)的場(富)


00011000000002=4
00100100000000=2
市川口
(延長14回)
【蕨】小副川−飯塚
【市】太田−横溝
二塁打 市ノ川、安藤、飯塚(蕨)

埼玉栄
0204100=7
0000000=0
川越東
(7回コールド)
【埼】本間−高橋
【川】藤野、高橋、加藤、小柳津、福満−山本、長野
三塁打 濱崎(埼)
二塁打 本間(埼)

成徳大深谷
000201000=3
000000000=0
城西大川越
【成】安藤−福島陽
【城】高沢、遠藤−鈴木勝
二塁打 中村(成)

大宮
1101001000 =4
0000000041x=5
東農大三
(延長10回)
【大】金森、猪熊−杉浦
【東】石山、大崎、杉浦、嶋田−金子研
三塁打 金子晶、工藤(東)
二塁打 猪熊、金森(大)工藤、猪又(東)

大宮光陵
000020000=2
00000214x=7
南稜
【大】山根、海野、戸張−渋谷
【南】佐野、高瀬−鳥羽、中田、久保田
三塁打 竹原(南)
二塁打 菅原(南)

慶応志木
000020110=4
01121000x=5
蓮田松韻
【慶】鶴田、坂本、岡田−林
【蓮】山口−関口
三塁打 大桃(慶)
二塁打 増田(慶)福田(蓮)

越谷北
00010000000 =1
00010000001x=2
滑川総合
(延長11回)
【越】小松−駒井
【滑】永井、伊藤−和栗
二塁打 小松(越)和栗、渋谷(滑)

埼玉新聞