感謝・まじめさ、勝利呼ぶ 上尾野球部監督・高野和樹さん

◇古豪復活への期待が高まりますね?

上尾高野球部監督 高野和樹さん(43)

 埼玉県内屈指の野球強豪校だった上尾で、27年前の夏、甲子園のグラウンドに立った。同校は1980年代後半から戦績が低迷。今月開幕する春季関東地区高校野球大会への出場は、24年ぶりに県大会決勝まで勝ち上がって決めた。復活を目指し、監督としてチームを率いる。

 全国から優秀な選手が集まる私立の有力校がひしめくなか、県立高の躍進は注目を浴びる。春の県大会決勝は花咲徳栄に2−0で敗れたものの、多くのファンが球場を埋め尽くした。

 東秩父村出身。中学時代は体格に恵まれず、恩師らは上尾でやっていけるか心配したという。あこがれの野球部で努力が実り、2年生の夏、控えのキャッチャーとして甲子園出場を果たした。

 現役時代、体格や技術が上回る相手に勝つ方法ばかりを考えていたという。その経験は指導者となって生かされた。「野球ができることに感謝すること。きちんと日常生活を送り、まじめに野球に取り組まないとどんな相手にも勝てない」

 母校の監督に就任したのは昨秋。上尾のユニホームに対する誇りは人一倍強い。生活指導にも力を入れ、勉強に手を抜いていないかまで目を光らせる。多くの選手は「野球部の先輩や先生としても大切なことを教えてもらっている。上尾の選手は多くの人々に支えられているのが分かった」と話す。

 「チームと一緒に、監督も成長していきたい」。伝統校を立て直せるか。期待が掛かっている。

朝日新聞埼玉版)