浦学、佐藤温存が裏目 甲子園8強入りならず

 (19日・甲子園)

 第11日は3回戦4試合を行い、浦和学院は天理(奈良)に2−6で敗れ、26年ぶりの8強入りはならなかった。

 浦和学院はエース佐藤の温存が裏目に出た。先発の右腕山口が2回3失点で降板。2番手の左腕小島も3回3失点と攻略され、劣勢に追いやられた。佐藤は六回から登板し1安打無得点。

 打線も天理の左腕中谷を攻略できなかった。二回に明石のスクイズで1度は同点に追い付き、四回には高田のソロ本塁打で追撃したものの、六回の満塁機を逃すなど決定打に欠けた。

 そのほか桐光学園(神奈川)作新学院(栃木)東海大甲府(山梨)が勝って、8強が出そろった。

 桐光学園は松井が3試合連続2桁の12奪三振。4−1で浦添商(沖縄)を下し、春夏通じ初の8強入り。作新学院は3−2で仙台育英(宮城)を下して2年連続で8強に進んだ。東海大甲府は3−2で初出場の宇部鴻城(山口)に競り勝ち、8年ぶりに8強入りした。

 20日は準々決勝2試合を行う。

 戦評…浦和学院は、攻守で後手に回り天理に完敗した。

 浦和学院は1点を追う二回に明石がスクイズを決め同点。しかしその裏、先発山口が2死走者なしから与えた四球をきっかけに2点を勝ち越されると、2番手小島が3失点した。2試合完投のエース佐藤を温存。山口、小島の継投が持ちこたえられなかった。

 頼みの打線も左腕中谷の前に7安打2得点に終わった。四回に高田のソロ本塁打で反撃したが、六回2死満塁で明石が凡退し、最大の追撃のチャンスを逃した。

◇勢い消え攻守で後手

 投打ががっちりかみ合っていた2回戦までの姿は、どこにいってしまったのか。浦和学院は、天理から一度もリードを奪えないまま完敗。森監督は「思わぬ失点から流れを止められずに、ずるずるといってしまった」と悔しさをにじませた。

 埼玉大会では佐藤と2本柱だった右腕山口を、満を持して今夏初のマウンドに送り込んだ。しかし、これが大誤算。一回に暴投で先制されると、同点となった二回には2死から不用意な四球で出塁を許し、連続長打を浴び2点を勝ち越された。

 三回からリリーフした1年生左腕小島もこの回に犠飛で1点。五回には無死一、三塁から一塁走者が走った際に捕手林崎の二塁送球が悪投、さらに適時打で2点を追加された。「小島がつなぎ、いい形で後半から佐藤につなぐ」という指揮官の思惑通りにはいかず、エース佐藤が六回にマウンドに上がった時にはすでに大勢は決していた。

 悪い流れは攻撃にも伝染。2試合で28安打を放っていた頼みの打線も天理の左腕中谷の外角を中心とした攻めに、打たされる場面が目立った。最大のチャンスは2−6の六回の2死満塁。一打出れば試合は分からない。代打も考えられた場面で森監督は「キャプテンに懸けた」。しかし明石は初球の高めの直球を打ち上げ三邪飛に終わった。

 春季県大会で完敗後、“夏の日本一”をつかむために血のにじむような猛練習を重ねた。大阪桐蔭とのリベンジマッチを前に、志半ばで甲子園を去ることは無念で仕方ないだろう。それでも主将の明石は「最後まで『絶対に負けてたまるか』というウラガクの魂は見せられた。このチームで野球ができて最高でした」。目を真っ赤にしながらも最後は胸を張った。

埼玉新聞