走者出しても投げ抜く 富士見・小川圭太投手(3年)

◇「秋につなげて」後輩に期待

 富士見の小川圭太投手(3年)は、いつもと違う感じに気付いていた。少し浮足立っていた。

 2回裏2死一、三塁。相手打者への初球を外角に外すつもりが甘い直球になってしまい、左前に運ばれた。先制点を許した。

 「普段ならばしっかりミットをめがけて投げてくるのに、ストレートが上ずっていた」。上條謙捕手(3年)も硬くなっているのを感じていた。

 2日前にあった春季関東大会4強の埼玉栄戦で、8回1/3を投げて被安打は3本。無失点に抑え、勝利に貢献した。

 「挑戦者として臨んだ埼玉栄戦に比べ、欲が出てしまった」。山崎警監督が振り返るように、生命線のチェンジアップが定まらなかった。それでも粘りを見せ、聖望学園相手にほぼ毎回走者を許すものの、2失点10残塁に抑えきった。

 7回表には2死三塁の同点機で打順が巡ってきた。

 相手はエースの川畑諒太投手(2年)。前の2打席は凡退していた。球が重たかった。前日のミーティングで、狙い球を決めて、早いカウントで勝負する指示が出されていた。

 力負けしないように、外角の直球に絞っていた。3球目、内角に直球がきた。思わず手が出て、内野ゴロに倒れた。与えた点を奪い返せなかった。

 再び強豪を倒すことはできなかった。「この勢いを秋につなげてほしい」。後輩に期待を込めた。

朝日新聞埼玉版)