緻密な野球体現 大塚健太朗遊撃手(3年)

 二回無死。相手4番のバットが快音を放った。頭上に飛んでくるライナー性の打球を見て、「打球が死んでいる。取れる」。大きく横に跳び、打球はグラブの先に収まった。好守に甲子園の大観衆がどよめいた。

 身長1メートル69ながら、50メートル走は6秒、遠投110メートルと高い身体能力を誇る。大阪府堺市出身。中学時代はボーイズリーグで活躍、全国大会でもベスト8入り。岩井隆監督の下で緻密な野球をしたいと、花咲徳栄に入学した。「中学のプレーのままじゃ徳栄の野球についていけないぞ」。岩井監督から言われ、バントや走塁など細かいプレーを徹底的に練習した。入学直後からレギュラーの座を射止め、今ではチームの精神的支柱に成長した。

 試合後、「監督にはここまで鍛え上げてくれて感謝の気持ちでいっぱいです」とかみ締めるように話した。将来の夢はプロ野球選手だ。「甲子園に出たことが監督への恩返しじゃない」。さらに上のレベルでの活躍を誓った。

(読売新聞埼玉版)