設楽好投、逆転呼ぶ 本庄一−浦和実

◇小さなバッテリー躍動 本庄一

 身長165センチのエース設楽と166センチの捕手・岡野。“小さなバッテリー”が2年連続の4強入りへ大きく貢献した。

 5試合連続の逆転勝ちで準決勝進出を決めた本庄一の須長監督は、「ちっこくても頑張ればこうなるんだ。きょうはあの2人に託した。なんとか勝たせてやりたかった」と、ご満悦だ。

 三回に田村の左前適時打で先制したものの、五回に逆転を許した。続く六回にも1死一、三塁のピンチを招いたが、瀬尾を4−6−3の併殺に打ち取った。指揮官が「あのプレーで流れが変わった」と振り返るように、直後の攻撃で押し出しで同点に追い付き、田村の中前適時打で逆転に成功した。

 「ヤクルトの石川投手(身長167センチ)のようになりたい」と無邪気な笑顔を見せる設楽は、スライダーでカウントを稼いで打者の打ち気を誘い、多彩な変化球で凡打の山を築き、九回途中までを7安打2失点。「きょうが一番のピッチング」と目指してきた投球ができたことに満足げだ。

 4回戦からマスクをかぶり「意識して声を出した」とナインをもり立てた主将の岡野。「チームの中心」と須長監督の信頼も厚い。同監督は「力以上のものを出している。下手くそでも勝てることを示してくれた」と目にこみ上げる熱いものを拭った。

◇悔し涙で飛躍誓う 浦和実

 「3年生のためにも勝ちたかった」。早川は先輩たちに抱き寄せられると、込み上げるものを抑え切れなかった。浦和実の早川、鈴木の2年生投手陣が本庄一に屈した。

 2−1の六回、2番手早川が3連続四球などで同点に追い付かれた。「本庄一が仕掛けてくるのは分かっていたが、気負ってしまった」。先発の鈴木が1失点でしのいできただけに、2失点のこの回が悔やまれる。

 その後も制球が定まらない。完投した5回戦の川越東戦の時とはまるで別人。苦しみながらも上地のミットを目掛け投げ続けた。主将の上地は「最後までしっかり投げてくれた」とうなずいた。

 スタメンに2年生4人が名前を連ねる若いチーム。辻川監督は「この経験を来年に生かさないといけない。生かさないと3年生に申し訳ない」と自らに言い聞かせるように話した。

 昨秋、今春県4強とあと一歩の戦いが続いた。今大会に懸けてきたが夢かなわず。夏のマウンドで喜びと悔しさを知った早川は「来年は甲子園に行きます」と涙をぬぐった。

埼玉新聞