スライダーを武器に 西武台3年・市川達也投手

 西武台3年の市川達也投手が昌平打線を相手に完投勝利。決め球のスライダーが光った。

 5点のリードをもらって迎えた五回裏。昌平打線が、市川投手の直球にタイミングを合わせはじめた。2死二塁で、小泉健二塁手が直球をセンター前に運んで1点を返された。

 「直球が狙われている」。渡辺捕手は、続く服部直人左翼手が直球低めを安打したことで確信した。満塁となり、打席には4番、岩崎優一主将が入った。

 「追い込んで三振」。それが市川投手が描いたイメージだった。一方、渡辺捕手は、打席に立つ岩崎主将が4回戦の松山戦で一回に高めの直球を右前適時打にしたことを思い出していた。「直球は打たれる」。2−2からの5球目。サインに市川投手は首を振らなかった。スライダーが外角にストンと落ちると、バットは空を切った。

 昨夏、遊撃手から転じた市川投手の腕の振りのよさに目を付け、スライダーを教えたのは渡辺捕手だった。

 岩崎主将は試合後、「ストライクゾーンからボールに逃げるナイスボール。僕の力不足です」と涙を流した。

毎日新聞埼玉版)