浦和学院、2年連続8強 山形中央に11−1

 第85回選抜高校野球大会第8日は29日、兵庫県西宮市の甲子園球場で3回戦3試合を行い、浦和学院は東北絆枠出場の山形中央に11−1で圧勝し、2年連続の8強進出を果たした。森監督は甲子園通算20勝を達成。大会第10日、31日の準々決勝第2試合(13時30分)で、21年ぶりのベスト4入りを懸け、北海道王者の北照と激突する。

 初戦の2回戦は13残塁で4得点だった浦和学院打線が、この日は14安打で11得点と爆発した。

 一回、先頭の竹村が右前打で出塁すると、贄(にえ)がバスターエンドランを敢行。左中間を破る適時三塁打を放って先制した。続く山根も内野安打を放ち、3連打、わずか9球で2点を奪った。

 その後追加点を奪えず、五回にはエース小島の制球が乱れ1点差に詰め寄られた。しかし直後の六回、先頭の4番高田が左翼席へソロ本塁打を放ち、嫌なムードを吹き飛ばすと、2死二、三塁から途中から左翼の守備に入っていた服部が三遊間を破る2点タイムリー。この回3点を追加し、山形中央を突き放した。

 中盤以降は打線が本来の力を発揮した。七回は高田の二塁打で1点、八回には竹村、木暮の三塁打などで5安打で5点を奪い、大勢を決めた。

 初戦を完封したエース小島は5四死球と制球に苦しんだが、要所を三振で切り抜けるなど粘りを見せ、8回4安打1失点でまとめた。最終回は山口にバトンタッチ。昨夏以来のマウンドとなった右腕は先頭に二塁打を浴びたものの、後続を落ち着いて切って取った。

 投打がかみ合っての大勝。昨秋の関東大会3連覇、3季連続甲子園の実力を発揮した。31日の準々決勝は好左腕大串を擁する北照。3回戦の尚志館(鹿児島)戦では変化球を駆使し11三振を奪った。森監督は「素晴らしい投手。大振りにならないように立ち向かっていきたい」と抱負を話した。

埼玉新聞

◇チームの流れ作る先頭打者 浦和学院・3年、竹村春樹選手

 「1、2番でチャンスを作ろうぜ」

 試合前、贄隼斗選手(3年)と約束した通り、最初の打席で右前打を放ち、贄選手の適時三塁打で先制のホームを踏んだ。わずか7球での先制劇。「先頭打者として出ることが自分の役割。チームの流れを作りたかった」

 3季連続の甲子園出場。本番直前の今月上旬、思わぬアクシデントが起きる。沖縄合宿中の練習試合で、打球が左あごを直撃し、あごの骨にひびが入った。約10日間、栄養補助食品やおかゆしか食べられず、体重が約5キロ落ちた。「間に合うか不安だった」

 昨春のセンバツは調子が上がらず悔しい思いをした。それだけに、今大会にかける思いは人一倍強い。「自分がどんなパフォーマンスをすべきかを考えながら、グラウンドに立っていた」。2大会連続の8強入りにも浮かれた様子はない。「先輩たちに並んだことに満足せず、気を引き締めて目の前の相手に向かっていきたい」

◇応援団長は野球部

 一塁側アルプススタンドでは、浦和学院野球部で3年の池ノ上大貴さん(17)が応援団長として選手たちに熱いエールを送った。これまでベンチ入りしたことはないが、「全員野球で勝つ」と勝利への思いは人一倍だ。新チーム発足後、応援団長となり、応援団員約25人を引っ張ってきた。「全国制覇」と刺しゅうされた赤いはちまきをした池ノ上さんは、「勝利を信じて声が枯れようと倒れるまで応援します」と力強く話した。

◇マスコット見守る

 浦和学院のソングリーディング部「スプラッシュ」のマスコット「うさぎのスプラ」と「羊のラッシュ」も、スタンドから選手の活躍を見守った。マスコットはいずれも同部の保護者の手作りで、部長の近藤綾音さん(17)は「この子たちがいると良い結果を残せます」。その言葉通り、同部は千葉市で26日にあったソングリーディングの全国大会で準優勝を飾った。スプラッシュのメンバーたちは「私たちの応援があれば、全国制覇間違いなしです」。

毎日新聞埼玉版)