夢は咲く・花咲徳栄:第85回センバツ高校野球/6

◇思いやりの心学ぶ 小栗慎也投手(2年)

 昨秋の県大会決勝の浦和学院戦。三回終了後、ベンチの岩井隆監督に続投を直訴した。「投げきる気持ちがないとダメ。完投するつもりだった」。九回を6安打2失点に抑え、チームを優勝に導いた。

 左腕から繰り出す直球は最速135キロ。キレの良いスライダーやツーシームを織り交ぜて打たせて取るのが投球スタイルだ。

 野球を始めたのは小学1年の時。医者に肥満を指摘されたのがきっかけだったが、当初は「嫌で仕方なかった」という。しかし、小学3年の時にプロ野球を観戦してその気持ちは変わった。「野球ってかっこいい」

 高校野球で学んだことは、人への思いやりの心。甲子園でも、全ての選手の思いを胸に戦い抜く覚悟だ。

◇日本一の「花」を 根建洸太主将(2年)

 昨夏の県大会準々決勝で敗れた直後、岩井隆監督から主将に指名された。「任されるからには全力でやろう」。そう心に決めた。

 3人兄弟の末っ子。兄の影響で6歳で野球を始め、小中学時代も野球チームの主将を務めた。岩井監督は「我慢強く気が利く」と評する。

 現在は控えの捕手。レギュラー選手に「言いにくい面もある」というが、練習中に緩慢な動きを見せると、間髪入れずに一喝する。試合でもベンチから大きな声を出して鼓舞する。

 部員は約100人。「個性が強いけど、やると決めたら団結する」と胸を張る。間もなく甲子園。「全員で戦う気持ちでやる」。日本一の「花」を咲かせたいと思う。=おわり

毎日新聞埼玉版)