夢は咲く・花咲徳栄:第85回センバツ高校野球/1

 3月22日に阪神甲子園球場で開幕する第85回記念選抜高校野球大会毎日新聞社など主催)。3年ぶり3回目の出場を決めた花咲徳栄の主力選手を中心に、センバツにかける思いなどを聞く。【川畑さおり】

◇芽生えたエースの自覚 関口明大投手(2年)

 あの一球を、今も鮮明に覚えている。

 昨秋の関東大会決勝の浦和学院戦。同点で迎えた延長十回裏2死二、三塁、相手打者がバットを振り抜くと、鋭い打球が三遊間を抜けていった。痛恨のサヨナラ負け。「ピンチで抑えてこそ本物のエース」。背番号「1」の自覚が芽生えた。

 中学時代は三塁手。高校入学後、肩の強さを買われて投手に転向した。入学当初、最速135キロだった直球は、昨秋147キロをマーク。カーブやツーシームなど多彩な変化球も身につけた。昨秋の公式戦は6試合に登板し、投球回数(33回)を上回る35個の三振を奪った。

 「今度はチームを負けさせない」。強い気持ちを胸に、大舞台に挑む。

◇強肩も誇る中心的打者 若月健矢捕手(2年)

 強打の「徳栄打線」の中心的なバッター。昨秋の関東大会1回戦と準々決勝で本塁打を放ち、県内外の高校野球ファンを驚かせた。しかし、本塁打を意識することなく、気持ちで負けないように心掛けているという。「『走者を絶対に還す』という思いで打席に立っている」

 球に逆らわずに、広角に打ち分ける。公式戦打率は5割を超え、チーム一の13打点を挙げた。「スイングスピードが速くて手首も強い」。チームメートが目標にする存在だ。

 遠投105メートルと肩も強く、投手陣からの信頼も厚い。「自分がしっかりしていれば、ゲームをつくることができる。負けないキャッチャーになりたい」。チームの攻守の要が甲子園でも躍動する。

毎日新聞埼玉版)