絶対的なエースに 花咲徳栄・関口明大投手(2年)

 試合終了のサイレンが鳴り響く中、マウンド上にうずくまったまま、しばらく立ち上がることができなかった。「大舞台でみんなの期待に応えられなかった」。チームの大躍進を支えたエースの目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 準々決勝の習志野戦。完封勝利を収めたが、試合中に右足のふくらはぎに肉離れを起こした。この日の試合も大事を取り先発を外れたが、1点リードの八回、登板することになった。

 「痛さなんて関係ない。力でねじ伏せてやる」。そんな思いと裏腹に、制球が定まらない。押し出し死球を与え、同点に追いつかれた。

 延長十回。「お前が打たれるなら仕方がない」。根建洸太主将(2年)に肩をたたかれ、送り出された。最後はサヨナラ安打を打たれ、優勝を手にすることはできなかった。でも、新たな目標ができた。「信頼される絶対的なエースになってマウンドに帰ってくる」。力強い言葉が返ってきた。

◇今年は歴代1位

 花咲徳栄OBの谷島貞雄さん(41)が一塁側スタンドに駆けつけ声援を送った。谷島さんは90年卒の6期生。2年時から野球部のマネジャーを務めた。消防士として勤務するかたわら、休日などを生かし、公式戦はほぼ応援に駆けつけているという。谷島さんは「後輩たちの活躍に活力がもらえた。今年のチームのレベルは歴代1位です」と今後に期待を寄せる。

毎日新聞埼玉版)