浦和学院、史上初V3 秋季高校野球関東大会

 高校野球の第65回秋季関東大会最終日は1日、群馬県上毛新聞敷島球場で初の埼玉県勢同士の決勝が行われ、県大会準優勝の浦和学院が同優勝の花咲徳栄に延長十回、3−2でサヨナラ勝ちし、3年連続4度目の頂点に立った。3連覇は史上初の快挙。花咲徳栄は初優勝を逃した。浦和学院花咲徳栄は来春に甲子園球場で開催される第85回選抜高校野球大会(3月22日から13日間)の出場を確実にした。

 10月8日の県大会決勝では花咲徳栄浦和学院に8−2で完勝。王者花咲徳栄が力で押し切るのか。屈辱から浦和学院がプライドを見せるのか―。埼玉高校野球界の歴史に新たな1ページを刻んだ決勝戦は文字通り激闘となった。

 序盤、試合を優位に進めたのは花咲徳栄だった。一〜五回までの毎回で走者が出塁。二、三、四回には得点圏に走者を送り、プレッシャーを掛ける。だが、浦和学院も一歩も引かない。今大会初先発の涌本の粘投をバックの堅守が支え、ホームを踏ませない。

 試合が動いたのはグラウンド整備明けの六回だ。花咲徳栄は2安打と犠打などで2死満塁を築くと、9番森が初球を右前にはじき返し、2点を先制。これまでの戦い同様、このまま一気にいくかと思われた。だが浦和学院もその後のピンチをしのぐと、七回には西川の投手強襲の内野安打で1点差。さらに八回には、この回からリリーフした花咲徳栄のエース関口から3連続死球で2―2に追い付いた。

 九回はともに無得点。勝負が決したのは延長十回だった。2死から木暮の二塁打、さらに四球、暴投で二、三塁。この絶好機を浦和学院は見逃さなかった。西川が2球目の直球を左前へ執念のサヨナラタイムリー。三塁走者木暮が生還すると選手たちは喜びを爆発させた。

 ともに来春の選抜大会出場は濃厚。前人未到の3連覇に輝き、ナインの手によって3度宙を舞った浦和学院・森監督は「甲子園の舞台でも、決勝で花咲徳栄と当たれるように頑張りたい」。一方の花咲徳栄・岩井監督は「これからもっと強くなるチャンスをもらえたと、プラスに考えたい」。甲子園の優勝を懸ける一戦で埼玉の両雄が激突する―。そんな県民の夢も背負って、飛躍を誓う両ナインの大いなる成長に期待したい。

埼玉新聞

◇殊勲の一打、友に感謝 浦和学院・西川選手

 直球に狙いを絞り、浦和学院の西川元気選手(2年)が振り抜いた打球は、必死に手を伸ばす花咲徳栄の三遊間を破った。この瞬間、前人未到の3連覇が決まった。県大会決勝で敗れた相手への雪辱も果たす殊勲のサヨナラ打。「チャンスを作ってくれた仲間のお陰です」。けがを乗りこえ、仲間への恩返しの気持ちが詰まった一打だった。

 新チームが結成されて間もない8月下旬、練習試合で右手を骨折した。練習のサポートに回り、自分がいかに支えられてきたのかはじめて知った。「けがをしたことも財産になる」。森士監督の言葉通りだった。

 1年秋から公式戦のメンバーだったが、出場は今大会から。必死のリハビリで、ようやく間に合わせた大舞台だった。「緊張も、失敗もした。反省を今後に生かしたい」。謙虚に、更なる飛躍を誓った。

朝日新聞埼玉版)