けがで投球の幅広げ 浦和学院・涌本亮太投手(2年)

 森士監督から先発を告げられたのは、決勝当日の1日朝だった。花咲徳栄は、秋季県大会決勝で大敗した因縁の相手。「2度も負けられない」。強い気持ちでマウンドに向かった。

 立ち上がりから緩急を使ったピッチングがさえた。五回まで相手打線を散発3安打に抑えた。しかし六回、連打を浴びて2失点。七回途中で降板し、小島和哉投手(1年)にマウンドを譲った。「本当は1人で投げ切りたかった」

 今年2月、右ひじを痛めた。グラウンドの外から仲間たちの練習を見ながら、走り込みや筋力トレーニングに力を入れた。1日1000回の素振りも自らに課した。直球と変化球のキレが増し、投球の幅が広がった。

 大会史上初の3連覇を果たし、明治神宮野球大会に出場する。昨年は2回戦の愛工大名電(愛知)戦に先発したが、チームは大敗。「今年はしっかり勝てる投手に」。決意を新たにした。

◇3年生最後の日に

 三塁側スタンドには、浦和学院野球部に所属する3年生19人が応援に駆けつけ、後輩たちを力いっぱい応援した。3年生が活動するのはこの日が最後。逆転優勝を決めた瞬間、3年生は「大将」と森士監督を愛称で呼び、メガホンをたたいて大喜び。前主将の明石飛真選手は「実力では相手が上だったが、県大会で花咲徳栄に負けた悔しさをバネに頑張った成果が出た。自分たちが勝ったのと同じくらいうれしい」と3連覇を達成した後輩たちをたたえた。

毎日新聞埼玉版)