先輩の支えで初戦突破 浦和学院・小島和哉投手(1年)

 九回表。マウンドに駆け寄ってきた高田涼太主将(2年)に、肩をポンポンとたたかれた。「これで終わりじゃないからな。しっかり投げろ」

 女房役に声をかけられ気合を入れ直した。「絶対に0点に抑える」。最後の打者の打球が野手のグラブに収まると、表情がゆっくりと緩んだ。「先輩たちに助けられた」。初戦突破の立役者となった1年生エースは、感謝の言葉を口にした。

 立ち上がりは不安定だった。「甲子園とは違う緊張感があった」。初回、いきなりピンチを迎えたが、野手の好守備で切り抜けた。四回以降は尻上がりに調子を上げ、相手打線に付け入る隙(すき)を与えなかった。

 好調だったのは、ピッチングだけではなかった。同点で迎えた七回裏1死満塁。内角低めの直球を振り抜くと、白球が右前で弾んだ。「自分が何とかしたかった」。貴重な先制打を振り返った。

 大会3連覇まであと3勝。「次の試合も勝つ」。チームの大黒柱が必勝を誓った。

◇ごほうびの観戦

 浦和学院の小島和哉投手の地元、鴻巣市スポーツ少年団「下忍袋(しもおしふくろ)イーグルス」所属の児童約20人が応援に駆けつけ、スタンドから声援を送った。チームは今月行われた市の野球大会で優勝し、観戦はその「ごほうび」。石井賢司監督(47)は「内野ゴロに打ち取られても一生懸命走る。その姿を見てほしかった」と話す。主将で下忍小6年の丸山陽亮君(11)は「浦学野球部に入って甲子園に行きたい」と目を輝かせていた。

◇下位がよく打った 浦和学院森士監督

 前半の再三のピンチをよく切り抜けた。(相手は)簡単に点を取れない投手だと思っていたが、下位がよく打ってうまく加点できた。初戦で勝てたことが一つの兆しになってくれればと期待している。

◇次も一戦必勝で 浦和学院・高田涼太主将

 初回で点を取れなかったが、最後までみんなが集中できていたのはよかった。狙い球を絞ってしっかり打つことができた。次も一戦必勝で、喜びを感じながら全力で戦いたい。

毎日新聞埼玉版)