石巻からも心強いエール 浦和学院16強

 26年ぶりの16強だ−。17日、第94回全国高校野球選手権大会で8年ぶりの1回戦を突破した浦和学院が第1試合に登場。毎回となる18安打11得点の猛攻で聖光学院(福島)に11−4で圧勝した。森士(おさむ)監督就任後、夏の甲子園では初の3回戦進出。勝利の瞬間、真っ赤なスタンドは前回以上に揺れていた。

 2回戦突破を目指す浦和学院ナインに頼もしいエールが加わった。

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市でボランティア活動した浦和学院野球部。学校の課外活動で頻繁に訪れている事務部長の車谷裕通さん(50)が、交流の深い鹿妻・子鹿クラブスポーツ少年野球団から1枚の布に記した25人分の寄せ書きを預かってきた。1回戦は学校の事務所に飾られていたが、この日は野球部に託されてアルプスに登場。マントのように羽織って応援する高野凌選手(3年)は「これを書いてくれた人の思いを感じ、できることを全力で」とフィールドの仲間に視線をやる。

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 林崎龍也捕手の地元・さいたま市桜区からは私設応援団が約30人駆け付けた。

 昨年1月に事故で亡くなった父親の和重さん=当時(37)=の人柄にひかれ、今春の選抜出場決定後に友人、知人らが自然と集まったという。さいたま市立大久保中で和重さんの一つ後輩だった前場貴文さん(38)は「チャンスで回ってきたら打ってほしい」。和重さんと同い年の山谷英明さんは、この日が39歳の誕生日。「優勝してほしい。それだけ」。ともに林崎捕手にパワーを送る。

 願いが届いたのか、3−3に追い付いた二回。2死二塁から林崎捕手の右前タイムリーで勝ち越した。その後も笹川晃平右翼手佐藤拓也投手の本塁打など、自慢の打線が爆発し、毎回となる18安打、11得点の猛攻で快勝した。

 林崎捕手の母親の美紀さん(38)は「応援してくれる方には『ありがとうございます』の一言です。点差があったけど、勝った瞬間はうれしさしかなかった」と笑顔。

 野球部父母会長の緑川美博さん(44)は「こんな大差がつくとは信じられない。次もスタンドが一つになって応援します」と期待を込めた。

 さまざまな思いを背負ってナインは19日、ベスト8進出を懸け天理(奈良)に挑む。

埼玉新聞