骨折乗り越え、2点本塁打と2二塁打の活躍 笹川晃平選手

 6回、1点先制してなお2死一塁。「狙っていた」という低めの直球を振り抜いた。打球は左翼席へ。「今まで支えてくれた人のために、打てて良かった」。笑顔がはじけた。

 今春の選抜では4番打者。6月の練習試合中に味方と交錯して左手甲を骨折した。「もう夏は間に合わないと思った」。必死に治して埼玉大会に間に合わせたが、打率は2割台だった。

 打順は一つ下がった。奮起して心がけたのは「チームのために振り抜く」こと。重さ1キロのバットで一日2500回の素振りを続けてきた。6回の畳みかけた2点本塁打に加え、2二塁打を放ち、夏はチーム8年ぶりの勝利に導いた。

 母の美加さん(41)ら周囲の支えに対する感謝の念は尽きない。母はバレーボールの強豪八王子実践(東京)で主将を務めた経歴を持つ。飲み物など寮へ仕送りをしてもらうたびに何度も励ましの手紙をもらった。骨折した時は「自分の責任でケガをしたんだから、自分で何とかしなさい」。

 目指すは最強の5番打者。母の手紙の数だけ、強くたくましくなった気がする。

朝日新聞埼玉版)