第二の監督悔いなし 南稜・学生コーチ 武井和真君

 南稜で「第二の監督」と呼ばれていた学生コーチの武井和真君(3年)。ベンチ入りのメンバーに選ばれていたが、試合には出場しなかった。

 学生コーチの役割は幅広い。南稜の場合、監督の助言をもとに練習メニューをつくり、監督の指示を選手に伝える。試合前には打順を決め、試合中は三塁コーチとして盗塁などのサインも出す。

 就任当初は監督の意図がわからず悩んだ。何度も監督と話し、選手を指導していれば駆け寄った。一方、選手が指導に疑問点を持てば、すぐに説明せず、自分で考えさせるため、あえて監督に聞くように促した。

 常に持ち歩くノートには、選手のことや試合の反省を記録し、どのような指示を出すかも書き込んでいる。「先の先を考えなければならない」という。

 試合に出たい気持ちを抑えるのはつらかった。しかし、選手も武井君も目指すのは勝利。だからこそ、手を抜く選手がいれば、監督に代わってしかり飛ばす。自分のことよりも、仲間を優先させてきた。

 チームは3回戦で敗れた。武井君は「頭を使って人に指示をしたり、チームを管理したりすることは苦手だったが、挑戦できて良かった。悔いはない」と話した。

朝日新聞埼玉版)