浦学、徳栄が関東大会出場権を獲得 秋季高校野球

 (1日・県営大宮)

 第6日は準決勝が行われ、3連覇を目指す第1シード浦和学院と夏秋連覇を狙う第2シード花咲徳栄が決勝進出を果たし、選抜大会への最終関門となる関東高校大会(29日〜11月4日・山梨)への出場権を獲得した。

 浦和学院は関東高校大会出場、決勝進出ともに3年連続13度目。花咲徳栄はともに2年ぶり7度目。両校が決勝で対戦するのは、2年ぶり5度目となる。

 浦和学院は3−4の九回、敵失と犠打で1死三塁の好機をつくると、佐藤が初球の直球を右翼スタンドへ2ランを放ち、聖望学園に逆転サヨナラ勝ち。花咲徳栄は一回に6点、六回に5点を奪うなど、12安打12得点の猛攻で春日部共栄との乱打戦を制した。エース上田は、10失点しながらも追撃を振り切った。

 最終日は2日、県営大宮球場で午前10時から行われる。

◇佐藤が逆転サヨナラ2ラン

 浦和学院が佐藤のサヨナラ本塁打聖望学園に逆転勝ちした。

 投手5人を総動員して迎えた1点を追う九回、先頭の竹村が内野安打と敵失で二塁へ進むと、林崎が送り1死三塁。3番佐藤が初球の甘く入った直球を捉え、右越えに決勝の2点本塁打を放った。

 聖望学園は2番手の川畑が粘りの投球をしたが、最後は1球に泣いた。打線は14残塁の拙攻。

◇折れぬ心“一撃必殺”

 土壇場の劇的な一振りでそれまでのすべてを一瞬でチャラにした。浦和学院の3番佐藤が九回、逆転サヨナラ2ランを放ち、絶体絶命のチームを3年連続の関東大会出場に導いた。「まさか本塁打になるとはびっくり。最高の気分です」。ガッツポーズでダイヤモンドを一周し、出迎えた仲間と抱き合って喜んだ。

 1点を追う九回1死三塁。犠飛でも同点の場面で初球の内角直球をコンパクトにフルスイング。「何も考えず積極的に行こうと思った。感触は完璧だった」と右翼スタンドに公式戦5本目、県営大宮では4本目となるきれいなアーチを描いた。

 完全な負け試合を拾った。四回に1点をリードしたものの、毎回走者を許し、終盤は防戦一方。投手交代も慌ただしくなり、七回に同点とされると、八回に3番手佐藤が四球と失策で走者を許し、続く投手の暴投で勝ち越された。しかし、強気のエースは「守りで足を引っ張ったので攻撃でカバーしよう」と心は全く折れることがなかった。

 予想できない結末に森監督もいつになく興奮気味。「いろんな面で課題があるが、とにかく勝つという目的を果たせた最高の試合。佐藤の集中力には脱帽です」と話し、大黒柱に敬意を表した。

◇雪辱期し決意の言葉

 4−3で迎えた九回裏1死三塁、聖望学園の川畑が対するは浦和学院の3番佐藤。内角を狙った初球の直球が「甘く入った」。打球の行方を見届けると1年生右腕はマウンドにひざまずいた。

 出番は早々とやってきた。一回2死満塁から二番手として登板。ピンチではマウンドでほえ、気合を入れた。七回2死満塁でマウンド後方に高く上がった飛球をダイビングキャッチ。闘志をむき出しにした。

 県大会3試合でいずれもリリーフ登板し、最後までマウンドを守ってきた。まさに守護神の働きだった。準決勝を前に岡本監督からは「一回からあるぞ」。鋭く振ってくる相手に対し内角を意識させ強気に攻めた。被安打10、自責点2。何度打たれても逃げなかった。

 最後について「同点まではいい場面。よく投げていただけに…」と指揮官。2年生からは「胸を張れ」「仕方ない」。川畑はなかなか言葉が見つからない。一呼吸を置いて「内角を突いて来年浦学を倒したい」。雪辱を果たすべく冬場の走り込みで球速アップを図る。

◇2度の猛攻で大量点

 花咲徳栄が2度のビッグイニングで大量得点し、春日部共栄に打ち勝った。

 花咲徳栄は一回、3連続安打で無死満塁とすると藤原の左前適時打、若月の二塁打など打者一巡の猛攻で一挙6得点。六回にも再び10人を送り出す攻撃で5点を挙げた。

 春日部共栄は相手を上回る13安打を放ったが、先発したエース青木の乱調が響いた。

◇成長示すエースの粘り

 12安打で奪った12点をエース上田がしのぎ、2年ぶりに関東切符を獲得。春日部共栄との乱打戦を制した花咲徳栄の岩井監督は、「大会の中で経験を積ませてもらえたのが大きい」と選手の成長を感じ取っていた。

 2度のビッグイニングで勝利を手繰り寄せた。一回、1番山本からの4連打や敵失など6安打で6点。6−5と追い上げられた六回にも、ここから仕切り直しと言わんばかりに4安打にスクイズも絡め、5得点を挙げ突き放した。12−6の八回には、上田が4失点しベンチで悔し涙を流したが「思い切っていけ」と指揮官にげきを飛ばされ、「気持ちを入れ直した」と九回をゼロに抑えた。

 準々決勝は上田が完封し、この日は不調のエースを打線がカバー。大味な試合だが一度も追い付かれず、持ち味のしぶとさも身に付けつつある。新チームの始動が遅れた上に1年生が主体で、「関東は考えてもいなかった」と指揮官も予想しなかった躍進ぶり。決勝の浦和学院戦を控え、夏の甲子園メンバーの藤原は「全員野球で挑みたい」。この秋の成長を試すのにはこの上ない相手だ。

◇逆転信じチーム一丸

 今夏決勝の再現となった一戦は、春日部共栄が一回に6失点するまさかの幕開け。「普通はあれで終わり」と疲れ果てた表情の本多監督。内野守備の乱れが重なり、アウトを取れず降板した先発の青木は「全然駄目」と悔し涙をにじませた。

 屈辱を味わったエースの姿に、チームが一つになった。藤谷、西沢の適時打などで1点差まで追い上げ、ベンチの雰囲気は最高潮。しかし、直後の六回に再び悪夢が訪れる。好投を続けていた2番手西沢が3四球と乱れ、またも大量5失点。

 八回には2死から四球と4連打で4点を奪い返す粘りを見せ、本多監督も「あきらめずよく頑張った」と光を見いだす。投手力と守備力を明確な課題に掲げ、主将の鎌田は「同じ負け方はしない。もう負けたくない」と成長を誓った。

■準決勝
聖望学園
101000110 =4
200100002x=5
浦和学院
【聖】小林佑、川畑−中島、高橋
【浦】涌本、渡辺剛、佐藤、渡辺剛、池山、山口−林崎
本塁打 佐藤(浦)
三塁打 石橋(浦)
二塁打 巻口(聖)

春日部共栄
020210140=10
60000510x=12
花咲徳栄
【春】青木、西沢、伊川−田村
【花】上田−若月
三塁打 藤谷(春)
二塁打 吉田(春)若月2、森(花)

埼玉新聞