亡き祖母を思いレギュラー獲得 春日部・中山尋斗二塁手

 最後の打者が打ち取られるのを二塁走者として見届けると、頭の中が真っ白になった。同時に、野球を続けてきたこれまでの思い出があふれてきた。

 小学2年から野球を始めた。時間さえあれば、祖父母や母などが一家総出で応援に駆け付けてくれた。高校で野球部に入っても、それは変わらなかった。

 昨年4月、いつも応援してくれた祖母の光子さんが亡くなった。「天国のおばあちゃんのために、レギュラーをとる」。ノックに励み、苦手な守備を克服。試合後は家族と反省点を話し合った。春日部は部員数105人と県内有数の大所帯で、二塁手だけでも十人以上の選手がいるが、努力の甲斐あって今年4月にレギュラーの座を勝ち取った。

 「前の試合は初球に手を出しすぎた。今日はよく見ていく」と家族に話して挑んだ大宮東戦。九回二死、最後の打席で左安打を放ち逆転の機会を作ったが、あと一歩及ばなかった。

 試合後、「もっとみんなに野球をしている姿を見せたかった」と目を赤くした。しかし、大学進学という次の目標がある。「今度は大学に合格して家族を喜ばせたい」と誓った。

産経新聞埼玉版)