第93回埼玉大会シード校分析(6)市川越、鷲宮

■Cシード 市川越

 春季県大会準々決勝の桶川戦では終盤に6点差を追い付く粘りを見せたが、延長十一回にサヨナラ負け。1球の重みを知ったチームは好不調の波が少ない走塁や投手を中心とした守備力向上に心血を注いだ。夏は2年連続の8強。ともに失策絡みの失点で1点差に泣いた。今年は守備力に自信を持ち、新井監督も「まずは8強の壁を破りたい」と意気込む。

◇攻撃「自慢の機動力勝負強い早川」

 昨年より迫力には欠ける分、走塁に対する意識が高い。特に1〜6番は機動力がありノーサインでも走れる。最も頼れる3番早川の前に走者をためたい。両打ちでセンス抜群の1番桑山が突破口を開き、2番金子が犠打を絡め好機を拡大。春ベンチ外の西山は9番ながら長打力を秘め、鍵となる。4番冨岡は成長株で5番今村は実戦に強い。野瀬、江原も積極的だ。

◇守備「多彩な変化球大岩根が支柱」

 左スリークオーターの大岩根が大黒柱。7種類以上の変化球を自在に操り、的を絞らせない。控える右腕綿貫は気迫を前面に押し出し打者を翻ろう。左の秋葉、右の小島の両2年生は成長著しい。2年生捕手の冨岡は強肩で、送球も安定。内野は基本に忠実で堅い。外野手の肩に多少の不安があり、連係プレーでは中継の位置など内野手のバックアップが必要か。

■Dシード 鷲宮

 粘り強く少ない点差で勝ち上がっていく持ち味は健在。だが、春の県大会は3回戦で桶川に0−1で敗れた。左腕エース増渕が好投したが、点が取れなかった。柿原監督は「勝ちたいと強く思う者が甲子園に行く。行動で示してほしい」と選手に求める。昨秋の県大会では接戦を次々とものにして12年ぶりの関東大会に進出。ことしこそ悲願の夏初制覇を目指す。

◇攻撃「短打と小技で粘り強く得点」

 長打が続くような打線ではないため、短打でこつこつとつなぎながら小技を絡めて得点を奪う。第2リードを大きくし、一つ先の塁を狙う走塁の意識は高い。打線を引っ張るのは先頭の増渕。球を捕らえるのがうまく、足でかき回す。続く保泉、川越も俊足。4番深井はつなぎに徹し、5番塩田は長打を期待できる。下位の湯沢、遠藤、関口もこつこつ当てていく。

◇守備「左腕エースの増渕一人立ち」

 冬場の成長によりエース増渕が一人立ちした。春の県大会では2試合とも完投し、自責点は0。左スリークオーターから最速138キロに達する切れのある直球とスライダーを投げ込む。左腕栗田は昨秋の主戦で経験は豊富。右横の沢木も出番を待つ。捕手遠藤の配球にも注目。守備は左利きの二塁手関口、守備範囲の広い中堅手の保泉らセンターラインが軸となる。

埼玉新聞