上尾、２４年ぶり１勝 春季関東高校野球

◇貫いた普段着野球

　２４年ぶりの関東でも普段着の野球を貫いた。上尾が長打にスクイズを絡めて大田原に快勝。高野監督は「一回からいい形で流れができた。追い付かれてもいいと言っていたが、逆に突き放せた」と試合展開に納得した。

　一回１死三塁の好機をつくると、３番勝木田が中越え先制三塁打。続く小島の初球スクイズであっという間に２点を奪った。小島は「スクイズのサインが出ると思った。どうにか走者をかえしたかった」。指揮官は「４番だろうが何だろうが、つなぎの野球を目指している」と迷いはなかった。

　五回にも勝木田の２点三塁打などで３点を挙げると、４点リードの六回１死二、三塁では栗原が２球目をスクイズ。続く佐藤も初球スクイズに成功。１点をきっちり取りに行くそつのない攻撃で得点機を確実にものにした。

　まだ細かなミスもあるが、伝統校とはいえ経験の少ない選手にとっては一戦一戦が貴重だ。高野監督は「大きな舞台で試合ができるのはありがたい。思い切ってぶつかるだけ」と次なる戦いを待ち遠しそうに話した。

◇勝木田３打点

　自慢の長打力がチームの快勝を呼び込んだ。上尾の３番勝木田が三塁打２本で３打点。一回１死三塁で中越えの先制三塁打を放つと、五回２死二、三塁で同じく中堅手の頭上を越す２点三塁打。「直球に狙いを絞って甘い球が来たら打ってやろう」と好球必打に徹した。

　県大会でも打率４割１分４厘で１７打点と好成績を残したが、「ここで打ってほしいというときに打てなかった」と納得していなかった。「きょうはうまく打てた」。前チームから中軸を担う背番号９に笑顔が戻った。

◇１年ぶりの完投勝利

　故障で出遅れていた上尾の左腕伊藤が復調を印象付ける約１年ぶりの完投勝利。被安打９ながら要所を締め、「終盤はばてたが、完投できてよかった」と白い歯を見せた。三回に１点を返されたが、五回１死二、三塁と六回２死満塁を切り抜け、味方の攻撃につなげた。「打者の方が緊張しているし、打たれてもともと」と気負わず投げ、変化球主体に打たせて取った。

■２回戦
大田原（栃木）
００１００００００＝１
２０００３２００ｘ＝７
上尾
【大】渡辺諭、渡辺大−佐藤
【上】伊藤−河合
▽三塁打　勝木田２（上）
▽二塁打　佐藤（上）

　上尾は一回１死三塁で勝木田が先制の三塁打。続く小島のスクイズで２点目を挙げた。五回にも勝木田の２点三塁打、小島の適時打で３点を奪い、六回には栗原、佐藤の連続スクイズで２点を追加した。

　先発伊藤は９安打を許したが要所を締め、１失点で完投した。

（埼玉新聞）