徳栄、一丸でV2 春季高校野球県大会

(4日・県営大宮)

 最終日は決勝が行われ、花咲徳栄が上尾を2−0で破り、2年連続3度目の優勝を飾った。

 花咲徳栄は右腕沢幡が上尾を5三振2四死球に抑え、4安打完封した。打線は二回1死満塁、沢幡の遊ゴロが敵失を誘い先制。続く金子の遊ゴロの間に2点目を挙げた。

 上尾は三宅が5安打で自責点0と好投したが、打線の援護がなく八回2死一、三塁の好機も生かせなかった。

 花咲徳栄と上尾は関東高校大会(14〜18日・市原臨海ほか)に出場する。

◇覚悟決め、たくましさ

 マウンド上で人さし指を突き上げて喜び合うナイン。1年前と全く同じ光景だった。花咲徳栄が上尾を下し2連覇を達成。岩井監督は「予想外の結果。春になり試合を通してたくましくなった」と選手の成長とともに、連覇の味をかみしめた。

 我慢と覚悟の春だった。今チームは昨春の選抜大会に出場し、夏も県大会で準優勝した主力が抜けた。秋の県大会は初戦敗退。失敗やミスを怖れ、迷いや不安の色が出ていた。指揮官が口を酸っぱくして言い続けてきたことは「覚悟を決めろ」。主将の広岡は「秋は油断していたし、怖さが分かっていなかった。自分たちは弱いと自覚してつらい練習を乗り越えた」と振り返る。

 大きなヤマとなった準々決勝の春日部共栄戦では、同点の八回に3点を奪って競り勝ち、桶川との準決勝でも着実に加点し快勝。決勝でも適時打はなかったが、二回に沢幡、金子がしぶとく内野ゴロを放ち2得点し、投げては先発沢幡が上尾打線を4安打完封した。バックも無失策ともり立てた。

 球場へ向かう途中のバスの中でも「最後の春だ。メンバー外の選手もみんなで頑張ろう」と、チームの雰囲気を高める声が自然に出てくるようになったという。「全員野球でやろうという意識が強くなり、この大会で実践できた」と広岡。全員が勝利に向かって気持ちを一つにした“トクハル”が再び春の頂点に駆け上がった。

◇度胸満点の快投

 背番号14が決勝の主役になった。花咲徳栄の沢幡が上尾を4安打完封。昨冬から投手に転向した右腕は「(準決勝まで)エース北川が頑張っていたので、自分も影響されて気持ちの入った投球ができた」と喜んだ。

 球種は直球とスライダーのみだが、外角中心のコントロールが抜群だった。右横手投げで自然にシュートする速球も駆使し、凡打の山を築いた。

 3回戦の川口戦で登板し、チームは快勝したものの、自身は14安打を浴び5失点。「今までにないぐらい打たれて自分を見失っていた」。球威に頼って、おろそかになっていた制球力を修正し、決勝の大舞台での公式戦初完封につなげた。

 岩井監督は「沢幡はひょうひょうとしているが、度胸がいい。投手を(北川と)2枚確立できたのは大きい」と賛辞を送った。

■決勝
上尾
000000000=0
02000000x=2
花咲徳栄
【上】三宅−河合
【花】沢幡−白石

【戦評】
 花咲徳栄の右腕沢幡が上尾を4安打完封。攻めてはワンチャンスを生かして競り勝った。

 沢幡は5奪三振ながら2四死球と制球が安定していた。直球とスライダーのコンビネーションで外角低めを丁寧に突き、凡打の山を築いた。得点圏に走者を許した3度のピンチも後続を封じた。

 打線は上尾の左腕三宅からわずか5安打しか打てなかったが、二回1死満塁から、沢幡の遊ゴロが敵失を誘い先制。金子の遊ゴロの間に追加点を挙げた。

 上尾は三宅の好投を打線が援護できなかった。甘い球がほとんどなかった沢幡を攻略できず、八回2死一、三塁の好機も生かせなかった。バックも4失策と不安定だった。

埼玉新聞