共栄したたか8強 秋季高校野球関東大会

 関東7県の代表15校が参加して開幕。1回戦3試合が行われ、春日部共栄佐野日大(栃木1位)を6−3で下し、2日の準々決勝に進出した。

 春日部共栄は一回にボークで2点を先制すると、三回には鎌田の適時打と板倉の内野ゴロで2点を追加。先発竹崎は粘り強く3失点に抑えた。

 そのほか千葉経大付(千葉1位)が文星芸大付(栃木2位)を4−2、水城(茨城1位)が日本航空(山梨2位)を7−3で下した。この結果、春日部共栄は準々決勝で水城との対戦が決まった(10時・市営大宮)。また浦和学院は初戦の準々決勝で千葉経大付との対戦になった(12時30分・県営大宮)。

■1回戦
春日部共栄
202000002=6
100020000=3
佐野日大

【春】竹崎−佐々木
【佐】石川、森下−山口

 佐野日大投手陣の乱調につけ込んだ春日部共栄が効果的に加点し逃げ切った。

 春日部共栄は一回に連続ボークで2点を先制。三回には鎌田の適時打などで2得点。1点リードの九回には3安打を集中し2得点で試合を決めた。先発竹崎は3失点で完投。制球に苦しみ五回に1点差とされたが、その後は守備にも助けられ立ち直った。

◇大舞台の1勝、自信に

 春日部共栄が優勝して選抜大会に進んだ1996年以来、14年ぶりに秋の関東大会で1勝を挙げた。本多監督は「勝った感じがしない。勝たせてもらった」と冷や汗をふきながらも、ほっとしたような笑顔を見せた。

 一回に佐野日大の先発石川の連続ボークで労さず2点を先制。願ってもない展開をどう勝利に結び付けるか。本多監督は「勝負どころの弱さの話をずっとしてきた。共栄のここ5年の弱さはそこだから」と率直に話す。

 選手は粘り強く試合をつくった。エース竹崎は制球に苦しんだが、1点差とされた五回は相手4番を得意のスライダーで空振り三振。四回は失策で出した走者を捕手佐々木が盗塁阻止、七回にも二遊間で併殺を完成させた。

 佐々木は「打線の援護を待ってリラックスして投げろ」とマウンドの竹崎を鼓舞。主将の薮内は「リードしているのはこっち。声を掛けていつも通りやっていこう」とナインを落ち着かせた。

 打線は安打が出なくても9四死球でしぶとく出塁。4度の犠打も決め、「守備、バント、走塁に波があったら勝てない。やっとバントミスもなくなってきたし、守るところできちっと守った」と本多監督もうなずいた。

 相手に助けられたとはいえ、大舞台で大きな1勝。竹崎も「甲子園は遠くない」。14年ぶりの選抜へ自信をつける勝利だったことは間違いない。

◇打線を引っ張る攻めのスイング

 1年生主砲の鎌田が関東デビュー。2安打1打点で勝利に貢献した。三回1死二、三塁で左前適時打。会心の当たりではなかったが、「前の打席で打てなかったので思い切っていった」と一回の凡退を取り返した。

 県大会ではチーム一の8打点で打線をけん引した。決勝が終わって一度調子が落ちたというが、「また上がってきた。自分の中では絶好調」と強気を崩さない。「いい投手は簡単には打てない。思い切り行けば結果が出る」と攻めのスイングでチームを勝利に導く。

◇流れ引き寄せた1、2番の出塁

 自慢の1、2番コンビが打線を活気づけた。先頭の小泉、続く薮内がそろって4度ずつ出塁。2人合わせて6四死球を選ぶなど特長を発揮した。

 小泉は2四死球を選んだほか、県大会で6盗塁した足を生かし、内野安打2本で1盗塁。「足でかき回すことができた」と納得する。4四死球の薮内は「2人でチャンスをつくって、3〜5番にかえしてもらう」と得点パターンを説明する。

 一回には2人が塁に出て連続ボークで生還。無安打で2点を先制し、試合の流れを引き寄せた。
◇意地と粘りでマウンド守る

 大黒柱の背番号1が粘り強く投げ切った。エース竹崎は序盤からボールが先行して3四死球と苦しみながら7安打3失点で完投。「夏の甲子園に出たチームに勝ちたかった」と意地を見せた。

 本多監督からフォームの修正点を指摘され、1点差の六回から持ち直した。七回には安打の走者を併殺で仕留め、八回も2度3ボールになったが切り抜けた。「楽しまないと自分のいいプレーができない。笑えばリラックスできる」。ピンチでも崩れない気持ちの強さでマウンドを守り切る。

埼玉新聞