「強豪私学打倒」夢追い続け 市立川越・丹羽俊亮捕手

 市立川越の捕手・丹羽俊亮(3年)の目標は「強い私学を倒したい」ということだ。相手は同じ高校生。必ず勝てると信じてきた。

 私学の強豪・本庄一に、3回裏に先制点を取られ、なお2死一塁。右前に落ちた打球を見て、一塁走者が本塁へ突っ込んできた。タッチをかいくぐろうとする走者をアウトに。相手に傾き掛けた流れを引き寄せ、次の回に、自身の出塁も絡み逆転した。

 しかし、結果は1点差の惜敗。スタンドには4回戦の相手、公立の川越工の選手が見えた。5回戦の坂戸西からは「倒してくれ」というメールが届いていた。

 主将として練習を引っ張ってきた。住宅街にあるグラウンドは夜遅くまで照明をともせない。使えるうちはボールを使い、照明が消えてからは走り込みや素振りをするなど工夫した。

 率先する姿に下級生や同級生もついてきた。「誰もが認める主将」と新井清司監督は太鼓判を押す。2年の春、正捕手の座を争い、肩を痛めた。今大会も試合前に痛み止めの注射をして臨んだ。

 ベンチで号泣するメンバーに「応援してくれたみんなにお礼にいくぞ」。最後まで主将らしく振る舞った。しかし、通路で仲間に抱きしめられて、涙を見せた。

 「どんな形になるかわからないが、もう一度甲子園を目指したい」。指導者の道で、再び夢を追おうと思う。

朝日新聞埼玉版)