5戦目降板も力投光る 所沢北・戸谷亮太投手

 所沢北のエース戸谷亮太(3年)がマウンドから中堅の守備位置へと走っていく。今大会の4試合、1人で投げ抜いてきた。しかし、浦和学院には立ち上がりを攻め込まれ、2回、二塁打を打たれて降板した。

 初戦の2回戦は被安打2、3回戦も被安打3でいずれも完封。4回戦の飯能南戦は4点を奪われたが四球を一つも出さずに投げきった。5回戦も所沢商相手に1人で投げた。「戸谷が頑張ったからここまでこられたと思う」と中野忠司監督はたたえる。

 6年ぶりの8強入り。原動力になったのは「見返してやりたい」という気持ちだった。野球部は学校でも長時間練習する部だ。それにもかかわらず最近の夏の大会はベスト16を前に敗退、周囲からは「あんなに練習しているのになんで勝てないんだ」と言われてきた。

 昨秋の県大会地区予選。戸谷は坂戸西戦で2失点し、早々に降板した。ふがいなさに、「(勝つためには)自分も殻を破らないといけない」と思った。

 冬場に200球の投げ込みを続けた。100メートルを10往復し、タイヤをひいての400メートル走も率先して声を出し引っ張った。最速134キロの直球は、決して速い球威ではない。そのため、春以降、スライダーなど、変化球を極めようと努めた。甲子園経験者からは「今日の練習は二度とやってこない。結果は1日、1日の積み重ねで訪れる」という話も聞いた。

 1人でマウンドに立ち続けたことは「終わってみたら最後まで投げていた」感じだった。ただ、8強になって気づいたことがある。「練習と同じで、連勝は1個ずつの積み重ねでついてくるものなんだ」

朝日新聞埼玉版)