来年へ気持ち切り替え 富士見・新チーム

 甲子園を目指し、一戦にかけた球児たち。8強が出そろう一方、151校が敗退した。しかし、姿を消したチームの1、2年生は、敗戦を胸に、早くも来年を夢見てグラウンドで走り始めた。

 23日午前8時の富士見高校。白い練習着の1、2年生が顔から汗を噴き出していた。新チームのベンチ入りがかかった体力測定。タイムを測定しながら、1000メートルの持久走や、10メートルと30メートルのダッシュに取り組んだ。

 前日の花咲徳栄戦は2−11で敗れた。球場からの帰りのバスの中で柴田翔主将(3年)はこう激励したという。「普段から練習に遅れたり、だらけたりした部分で負けた。他の生徒の模範になるような野球部をつくれ」

 今嶋亮介中堅手(2年)は新チームの主将に抜てきされた。花咲徳栄戦の九回表、1死二塁で相手選手が放った打球に追いつかず、適時二塁打にした。「取れると思ったのにグラブにかすりもしなかった」と悔しがり、外野のノック練習に力をいれると決めた。

 谷口清司三塁手(1年)は、花咲徳栄戦の三回、右翼前ヒットを放った。1球目、「打たなきゃ」とのプレッシャーからど真ん中の直球に手が出なかった。その時、試合に向かうバスの中でOBが言った「お前は相手に負けていない」の一言が頭に浮かんだ。気持ちがほぐれ、2球目の内角直球をはじき返した。「あの一打でやる気が出た。練習して、新1年生を引っ張っていきたい。休んでいる場合じゃないんです」

 グラウンドのスピーカーから時折Jポップが流れる中、昼休みをはさみ、練習は夕方まで続いた。来月15日には新人戦が始まる。

毎日新聞埼玉版)