重圧はねのけ二塁打 本庄一3年・田村和麻選手

 「来た球をひっぱたくだけ」。2点リードで迎えた七回表無死二塁。外角直球を振り抜いた。だめ押しの適時二塁打。田村和麻選手(3年)は二塁上で右の拳を突き上げた。

 1年生だった08年夏に4番打者で甲子園に出場した。昨秋には強肩から投手に抜てきされた。「投手で主軸。僕がチームを引っ張ってもう一度甲子園へ」。期待と裏返しの重圧を一打ではねのけた。

 五、六回の好機は二打席続けて内野ゴロに倒れていた。それでも七回の好機に落ち着いて打席に入れたのは、「田尻や葉梨が打ってくれる。もう自分だけが気負う必要はない」と思えたからだった。

 正智深谷の戸沢尚宏投手は「まだ2点差。もう一度逆転の流れになる」と考えていた。投じた7球はすべて外角直球。田村選手は内角に強いと分析していた。だが、2−2からの7球目をはじかれた。

 田村選手は八回裏から登板。反撃を抑えた。試合後、田村選手は「野球は1球で流れが変わる。仲間と少しでも長くプレーしたい」と笑顔で語り、チームメートの輪に加わった。

毎日新聞埼玉版)