花咲徳栄が9年ぶり2度目の優勝 春季県高校野球

(4日・県営大宮)

  最終日は決勝が行われ、花咲徳栄が昨秋と同じ顔合わせとなった浦和学院に2−0で雪辱し、9年ぶり2度目の優勝に輝いた。花咲徳栄は橋本が浦和学院を6安打完封。打線は五回に木村、戸塚の連続適時打で2点を奪った。花咲徳栄浦和学院に公式戦初勝利。

  花咲徳栄浦和学院は関東高校大会(15〜19日・水戸市民ほか)に出場。花咲徳栄は16日の2回戦で土浦湖北(茨城2位)、浦和学院は15日の1回戦で水戸桜ノ牧(茨城3位)と対戦する。

◇強さ増し王者撃破

 最後の遊ゴロが佐藤から英に送られると、マウンド上の橋本を中心に歓喜の輪ができた。人差し指を天に突き上げて抱き合う花咲徳栄ナインの姿にこの試合に懸けた思いが凝縮されていた。

 創部28年目、公式戦11戦目で浦和学院に初勝利。関東大会出場が決まった後でも誰一人手を抜かず王者を倒し、岩井監督は「勝つとしたらきょうだった。価値ある1勝。選手に感謝しなければ」としみじみと語った。

 相手投手に常に重圧を与え続けた。速球を持つ南には空振りせず、ボール球を冷静に見極める。五回に木内のチーム初安打で勢いに乗ると、大塚、木村、戸塚の3連打などで2得点。4番戸塚にも今大会初安打初打点が出て「今までは自分のことでいっぱいだったが、皆が声を掛けてくれて周りが見えた」と感謝する。

 今大会は右腕・松本が2試合、橋本が3試合に先発し、エース五明の登板は最後までなかった。岩井監督は「皆に投げさせて、きょうも最後は五明と思っていた」というが、背番号1に頼らずとも5試合で1失点に抑えてしまうのが、このチームの強さの証しだ。

 次の目標は秋に準優勝だった関東の頂点。主将の根建は「好機を生かせない部分を修正したい」と引き締める。この姿勢が続けば、真夏に9年ぶりの大輪の花が咲くこともあるだろう。

◇課題と涙 夏の糧に

 マウンド付近で輪になって勝利に酔いしれる花咲徳栄ナイン。浦和学院ナインはその光景を涙を流しながら、じっと見つめていた。秋のリベンジを喫して完封負け。春、夏、秋を含めて続いていた決勝戦の連勝も16で止まった。

 敗れはしたものの、決して力負けはしなかった。象徴的なのが六回の守り。無死一、二塁のピンチで、萩原大が冷静に無失点に抑えた場面だ。

 まず、1死二、三塁から、好打者の1番佐藤を二ゴロに打ち取って本塁刺殺。さらに2死一、三塁から、ランエンドヒットを仕掛けた花咲徳栄の揺さぶりにきっちり対応した。三塁走者の飛び出しを察知した二塁手濱田が、素早く三塁へ転送して無失点で切り抜けた。

 前日の準決勝では3失策に7盗塁を許すなど、“守乱”の様相を呈していたが、準決勝終了後に練習を実施。この日の無失策につなげるなど、1日で修正する能力の高さには、“ウラガク”らしさが垣間見えた。森監督も「帰って練習した成果が出た」と納得した。

 完封負けを喫するなど課題は多いが、春の涙は必ず夏への糧になるはずだ。萩原大も「夏は絶対に優勝するだけ」とリベンジを誓った。決して、うつむくような試合内容ではなかった。

埼玉新聞