浦学と徳栄が関東へ 春季県高校野球

(3日・県営大宮)

 第7日は準決勝2試合が行われ、第1シード浦和学院と第2シード花咲徳栄がそれぞれ勝ち、関東高校大会(15日から5日間・茨城)の出場権を獲得した。浦和学院は3年連続13度目、花咲徳栄が9年ぶり5度目。決勝進出は浦和学院が2年連続11度目、花咲徳栄は9年ぶり5度目になる。

 浦和学院は延長十三回、1死二、三塁で小林が左前適時打を放ち、5−4で坂戸西にサヨナラ勝ち。坂戸西は十二回に1点を勝ち越したが、失策で追いつかれた。

 花咲徳栄は序盤から打線が畳み掛け、7−0で川越東に七回コールド勝ち。先発の橋本が参考記録ながら無安打無得点を達成した。出した走者は四球による1人だけだった。

 決勝は4日、県営大宮で正午にプレーボール。

◇小林一振り 延長制す

 浦和学院がサヨナラ勝ちで坂戸西とのシーソーゲームを制した。

 浦和学院は延長十三回、先頭の石田が振り逃げで出塁。四球と犠打で1死二、三塁とチャンスを広げると、9番小林が左前適時打を放って勝利を呼び込んだ。

 坂戸西は土壇場の九回に同点に追い付き、延長十二回に勝ち越したが、好投のエース長島が最後に力尽きた。
◇“精神力で失策カバー”

 流れを失いかけていた浦和学院だったが、ここ一番で集中力を発揮。逆転サヨナラ勝ちで、13度目の関東切符を獲得した。森監督は「競り合いの中、気持ちを切らさずやれたのが収穫」と成長を感じ取っていた。

 中押し点を取りに行った五回だった。春の浦和学院にしては珍しく、無死三塁からスクイズを敢行。だが、失敗して三塁走者が憤死すると、リズムが悪くなった。走者を簡単に二盗させたり、送球ミスで楽に進塁を許したり・・・。3失策ばかりか記録に残らないミスも続き、秋の王者とは思えない“守乱”ぶりだった。

 普通ならそのまま負けてもおかしくないが、あっさり降参しないところはさすが。延長十二回に同点に追い付くと、十三回に小林が値千金の一打を放つ。「みんなの必死な姿を見て、このままでは終われないと思った」(小林)と狙い澄ましてバットを振り抜いた。

 勝利に不可欠なのは、強じんな精神力。同点打の久保は「取られても切れず、常に追い越してやるつもりだった」と負けん気が強い。チームは間違いなく、技術よりも大切なものを備えている。

◇橋本が無安打投球

 花咲徳栄の左腕・橋本が七回参考記録ながら川越東を無安打無得点に抑えた。出した走者は四球の1人のみ。内野ゴロ9、飛球6の内容で打者21人を完全に封じ込めた。

 打線は一回、木村、橋本の適時打で2点を奪うと、五回には敵失に乗じて大塚、木村の連続適時打などで4点を挙げた。

 川越東は淡白な攻撃が目立ち、先発の高梨も制球が甘く精彩を欠いた。

◇“戦力充実 投打に磐石”

 選抜大会出場の花咲徳栄が川越東を寄せ付けず、春9年ぶりの関東大会を手繰り寄せた。投打に磐石の戦いぶりだったが、ヒーローは何といっても7回を無安打無得点に抑えた橋本。背番号9は「無安打は知っていたけれど、意識はしなかった」と涼しい顔を見せる。

 先制した打線に乗せられて、危なげない投球だった。五回に四球を一つ出したものの、併殺で切り抜け、打者21人をわずか64球で退けた。捕手の木内が「相手がストライクを打ち損じて展開が早かった」と言う通り、ストライク先行の投球が最大の勝因だ。

 準々決勝でわずか1得点と苦しんだ打線も13安打7得点と爆発。3安打2打点の木村は「橋本を中心に守備が安定していたので、流れのまま進められた」と笑顔だ。

 今大会はまだエース五明の登板がないが、準々決勝で松本が完封したのに続き、橋本が結果を出した。岩井監督は決勝について「戦力的にはウラガクが上」と言うが、夏に向けて戦力の底上げを果たしながらの快勝を見れば、それも謙そんにしか聞こえない。

埼玉新聞