花開け・徳栄のセンバツ:チームのために打つ 今大会第1号本塁打・橋本選手

◇橋本祐樹選手(3年)

 「低い打球を心掛けたらホームランになった。次も打線をつなげる打撃をしたい」。センバツ開幕日(21日)の嘉手納戦で、今年の大会第1号本塁打を放った橋本祐樹選手(3年)はインタビューに、口数は少ないものの、きっぱりと答えた。自分のためでなくチームのために。28日に予定される敦賀気比(福井)戦に向け気持ちを高めている。

 中学時代はシニアで全国16強。181センチ、81キロの強打者はコーチから「プロ級」と評されるが、昨秋の関東大会は13打数1安打。打順は今年、3番から5番に変わった。「自分が打つことばかり考えていた」と振り返る。岩井隆監督も「実力は抜群だが頑固な面があった」と話し、精神面の成長が課題だった。

 自らの不振にもかかわらず、チームはセンバツ出場を決めた。「みんなが打ってくれたから出られる」。夢をつないでくれたナインに感謝した。

 開幕1週間前の関西遠征。「力みすぎだ。打つ前にバットをかついでみろ」。練習試合の後、岩井監督からアドバイスを受けた。「チームのために頑張らないと」と思うと、素直に受け入れられた。結果は、開幕初戦でのアーチに表れた。

 「ありがとうございました」。試合後の夜、ホテルの岩井監督の部屋を訪れ、ホームランボールを手に感謝を伝えた。「お前の努力を野球の神様も見てたんだよ。次も頑張ろうな」。いつもは怖い岩井監督が優しくほほえんだ。今まで以上の期待を感じ、うれしく、「チームのため、きっちり自分の仕事を」と誓った。

毎日新聞埼玉版)