花開け・徳栄のセンバツ:嘉手納とあす対戦 「使命感燃やし実力出せ」

◇03年出場の8強エース・福本真史コーチ

 花咲徳栄センバツ開幕日の21日、第2試合で嘉手納(沖縄)と対戦する。03年のセンバツでエースとして花咲徳栄をベスト8に導いたコーチの福本真史さん(24)は19日、チームが滞在する兵庫県内のホテルで、「甲子園では本気を出せ。恥ずかしさを捨てろ」と選手を励ました。

 福本さんは3回戦で、東北のエースだったダルビッシュ投手と投げ合い、サヨナラ勝ち。準々決勝は東洋大姫路に敗れたものの、延長十五回引き分け再試合となる名勝負になった。今の選手たちは当時小学生。「テレビで見て、あこがれました」と話す。

 明治大を経て社会人のTDK(秋田)の選手に。TDKでは野手としてならした。「やめて帰って来いよ」。昨年10月、岩井隆監督(40)から電話があった。以前からコーチにと誘われ、「まだ現役でいたいし、自分に務まるのか」と断ってきたが、1週間悩み、「母校や監督に恩返ししたい」と引き受けた。今年1月に就任したばかり。岩井監督は「指導はまだまだだが、野球への情熱がある。選手と年齢が近く、コミュニケーションをとりやすい」と期待する。

 投手にアドバイスしたり、打撃フォームの指導、ノックで守備を鍛える。選手たちに兄のように慕われ、練習後は相撲をしたり、寮で一緒に風呂に入る。福本さんは甲子園に出場した7年前を、「緊張して試合前のブルペンでは1球もストライクが入らなかった。試合中はまるで夢の中にいるようだった」と振り返る。

 でも「エースは自分しかいないという使命感を燃やすことで、実力を発揮できた。緊張するだろうが、今までやってきたつらいことを思い出せば落ち着ける」と選手たちに語りかけている。

 伝えたいのは技術面ばかりでない。「僕は仲間や学校、市民、応援してくれるたくさんの人に支えられて甲子園に立てた。選手たちにも、そのことを一番感じてほしい」

毎日新聞埼玉版)